1985年からつづく群馬県甘楽町の小幡さくら祭りで武者行列を初めて見た研修員
2025.04.22
4月6日、JICA東京では日本文化紹介プログラムとして群馬県甘楽町を訪問しました。
参加したのはアジア、アフリカ、中南米などから来日し、日本の大学の修士・博士課程に所属して自国の課題解決のための研究に従事する28名の研修員。
日照時間や降雨量に恵まれた甘楽町は農業が盛んで、1980年代から有機栽培を取り入れるなど先進的な取り組みを行い、多くのJICA研修員を受入たり、帰国後の青年海外協力隊員が地域おこしに携わるなど、JICAと関わりの深い町でもあります。
甘楽町には日本名水百選の「雄川堰」が町を流れ、名勝「楽山園」などの史跡や文化財が多く残り、毎年桜の季節には、江戸時代の面影が残る街並みを武者行列が練り歩く「小幡城下町さくら祭り」が開催されています。
1615年、徳川家康より織田信長の二男 信雄に小幡藩が与えられ、8代信邦が1767年蟄居となるまで、152年にわたり小幡藩を統治されたことに由来するという武者行列。今年はどんな武者が集まっているのでしょうか。
甘楽町にバスが近づくと、桜が今年は見事に咲いています。
バスを降りて白壁の武家屋敷が並ぶ中小路で武者行列を待っていると、たくさんの花火がお祭りのスタートを告げ、遠くからのぼりが揺れて行列が近づいて来ました。
隊を護る警官がとても誇らしげに行列を見つめています。
馬に乗った勇ましい大将をはじめ、槍隊、子どもたちの隊、姫と侍女、各地から来ている自前甲冑の鎧武者などに続き、最後にふわふわの馬人形を抱えた侍が真剣に360度抜刀を演じてくれる。そのキレの良さとコミカルさに皆で爆笑。
研修員は目を輝かせて写真を撮り、行列に続きました。
祈願式が行われる小幡八幡宮では武者たちと撮影大会。
刀を貸してもらって構えをとる研修員、「私は今日はピンク侍なの。」と伏し目がちにポーズをとる全身ピンクカラーの研修員など、皆も気分はサムライ。
撮影を満喫したら、甘楽のひな祭り会場へ。
地域から寄贈された約2000体のひな飾りが展示された会場には大正、明治時代のひな飾りも。
甘楽町では旧暦の4月3日にひな祭りを行う家庭も少なくないため、この時期まで展示しているそうです。
子どもの健やかな成長への願いが込められたひな飾りの繊細さに研修員は見入っていました。
次に国の指定文化財である楽山園に立ち寄りました。
江戸時代初期に織田家によってつくられた小幡藩邸の庭園は、鯉が泳ぐ池や東屋を配した築山、甘楽や上信越の山々の借景が素晴らしい。
皆で江戸時代の藩主がかつて見ていた景色を眺めながら、お祭りの喧騒から離れてゆったりとした時間を楽しみました。
隣の総合公園のお祭り広場でランチ休憩をした後は、バスで15分の富岡製糸場へ。
かつて鎖国廃止後の輸出品として、当時最も需要があった絹の日本初の近代的製糸工場であった富岡製糸場は、世界遺産に指定されています。今回は英語のガイドツアーに参加しました。
19世紀に日本が急速な近代化を推し進め、日本を工業大国へと変貌させたこの工場の取り組みや技術、エピソードを非常に面白く熱心に語る地元のガイドの方のお話しに、研修員は驚き、笑い、深く頷きながら学んでいました。
最後に「道の駅甘楽」で甘楽の美味しい野菜や特産品を購入して、名残惜しく自然豊かな甘楽町を後にしました。
古きものを大切に守る地域の人たちがつくりあげた温かな雰囲気のお祭りに参加し、製糸場では日本の近代化の背景をリアルに感じ、地産の美味しいものをお土産に、豊かな文化体験の一日となりました。
この旅にご協力いただいたみなさま、参加してくれた研修員のみなさん、ありがとうございました!
参加した研修員のコメント
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