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【群馬県・海外協力隊現地レポート】せネガルの海外協力隊からのニュースレターVol.1

2025.05.07

ボッチャの体験会について

2023年度4次隊として群馬県からセネガルに派遣された加藤 馨隊員(職種:青少年活動)から活動報告レポートが届きました!今回はセネガル共和国ティヴァウアーヌ市で一般社団法人 「WITH PEER」と協働して「ボッチャ」の体験会を実施したことが書かれています。

1.ボッチャ開催の目的・背景

オリンピックのように健常者と障がい者を分けるのではなく、誰もが一緒に熱狂できる「誰もができるスポーツ」を広めたい、そんな想いを持っていた私が出会ったのが、ティエス市に拠点を置く一般社団法人「WITH PEER」代表・松尾雄大氏でした。

彼とは、スポーツを通してすべての人に可能性を届けたいという共通の志があり、私たちはティヴァウアーヌ市で「ボッチャ」の普及を始めました。
ボッチャは、重度の障がいがある人を含むすべての人が楽しめるユニバーサルなスポーツで、ルールもシンプル。日本では少しずつ広まっていますが、セネガルではまだ認知度が低く、ほとんど知られていません。

「このボッチャを通じて、誰もが一歩を踏み出せるきっかけをつくりたい」その想いが、今の活動の原点になっています。
きっかけは、コロナ禍で市の教育委員会スポーツ課(現職参加:藤岡市役所)に配属されたとき、当たり前だったスポーツの場が突然なくなり、人と人のつながりや笑顔が消えていくのを目の当たりにしたことでした。スポーツが人々の心をつなぎ、日常を豊かにする「平和の象徴」だと気づかされました。
現在活動するセネガルでも、障がい者支援はまだ十分とは言えません。
だからこそ、ボッチャを通じて障がいの有無に関係なく、誰もが関わり合い、共に楽しめる場をつくりたい。スポーツの力で壁を越え、「楽しさ」と「平和」をこの地に届けていきたいといった背景がありました。

講師による講義

参加者の様子

2.当日の様子及び参加者の感想

今回は初めての開催ということで、「体験会」と設定しました。しかしセネガルの人たちは、何ごとにも本気でぶつかってくれる情熱を持っています。そのためボッチャの試合が始まると、その熱量が一気に場を包み込みました。笑い声が響き渡り、時には「そこは違うだろ!」といった小さな言い争いが起きたりもします。

でも、それも含めてすべてが真剣勝負。勝ち負けにこだわりながらも、互いをリスペクトし合い、心から楽しんでいる様子がひしひしと伝わり、感情の交差が感じられました。

そして何より嬉しかったのは、障がいの有無に関係なく、さまざまな人が関心を持って集まってくれたことです。近くを通りかかった人が足を止め、見学をしてくれたりといったそんな場面がいくつもありました。

誰かが「楽しそう!」と感じて自然に輪に入ってくる光景は、このボッチャが持つ本質的な力を象徴していたように思います。
「軽スポーツ」だけど、みんなが本気の勝負をしている。そのギャップがまた面白く、観ている人の心まで巻き込んでいくような雰囲気がありました。そんな風景を目の当たりにして、私はとても嬉しく、またこの活動を続けていきたいという思いが一層強くなりました。

試合が終わる頃には、「次はいつ?」「またすぐやりたい!」という声があちこちから聞こえ、参加者たちは次回の開催を待ちきれない様子でした。
「ボッチャが、確かにここセネガルの地で人々の心を動かし始めている。」そう実感できた、かけがえのない時間だったと思います。

活動中の加藤隊員

3.今後の展望

今後は、年齢や性別、障がいの有無に関わらず、より多くの方がオープンに参加できる環境を整えていきたいと考えています。また、私たち日本人や講師がいない時でも、現地の皆さん自身が主体的に活動を続けられるよう、支援や仕組みづくりを進めていきたいと思っています。

さらに、私たちが帰国した後も、ティヴァウアーヌ市に限らず、セネガル各地でより多くの人たちがボッチャに興味を持ち、自発的にイベントを開催していけるような広がりを目指しています。

どんな人でも楽しめる「スポーツの力」で、さまざまな壁を越え、この地に「楽しさ」と「平和」を届けていきたいと考えています。

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