【長野県】【民間連携事業】ベトナムに介護教育と多機能介護センターを！（株）エスポワールの挑戦
#3 すべての人に健康と福祉を
#4 質の高い教育をみんなに
2025.06.06
ベトナムでは、介護分野において統一した介護教育カリキュラムが存在しないため介護職という職種が確立されておらず、施設や介護スタッフによって介護の質が担保されていないという課題があります。
その課題に挑むのが株式会社エスポワール（長野県）。
現在JICA民間連携事業の中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用し、自立支援に基づくベトナム語版介護教育カリキュラムとライセンス制度の検討を行い、日本式の地域包括ケアの要となる多機能な介護センターとの一体運営モデルの普及を行っています。
ベトナムの保健省と国立病院関係者が長野県を訪問！
この事業において欠かせないパートナーがベトナム保健省と国立バクマイ病院。2025年5月にベトナム保健省および国立バクマイ病院から計５名が来日し、厚生労働省、長野県庁、佐久市役所、佐久大学、エスポワール社が運営する高齢者向け施設を訪問しました。今回は佐久大学およびエスポワール社の介護施設での様子をレポートします。
佐久大学を訪問！
佐久大学はこれまで医療や福祉に携わる多くの卒業生を輩出し、地域に根差した「地域ケア」の幅広い領域を包括的に学べる医療・介護・福祉の総合大学です。
まずは大学構内や授業風景を視察。
コミュニケーションや身体機能などの専門的な講義に真剣に向き合う学生たちの様子や、豊かな自然にも恵まれた大学環境に触れ、先進的な地域医療エリアである長野県佐久地域における大学が果たす役割を知る貴重な機会となりました。
続いては介護分野の実習施設を訪れました。
介護食の調理方法や栄養を学ぶ調理実習室や介護の技法を習得する介護実習室を訪れ、介護に必要な技術や知識を体系的に学ぶために必要な環境について活発に議論が交わされました。
その後、佐久大学の先生方による「介護福祉士誕生の経緯と求められる役割」についての説明と質疑応答が行われました。
介護福祉士の歴史とその背景、看護師との違い、求められる介護福祉士像、介護福祉士養成の教育体系などについてわかりやすくご説明頂きました。
参加者からは「介護福祉士の資格取得方法によって就職後の給与に違いはあるのか」「介護福祉士が住み込みで介護をする場合もあるのか」など具体的な質問がなされ、佐久大学とエスポワール社の皆さまが一つ一つ回答しました。
続いてエスポワール社の介護施設へ
天然温泉付き有料老人ホーム「ウェルハウスのぞみサンピア」を訪れ、施設の設備や提供するサービス、利用者の過ごし方、スタッフと利用者のコミュニケーションの様子を視察しました。
介護浴室の設備や移乗リフトの活用方法などの説明に熱心に聞き入る参加者の皆さま。
また陽の光が射すテラスでボールを投げ合う利用者の方々と挨拶を交わし、100歳を超えた利用者の方からは折り鶴をプレゼントして頂き、ささやかながら交流の機会にもなりました。
続いて訪れた「さんぴあの家」は、エスポワール社が特にベトナムへ普及を推進している「小規模多機能型居宅介護」サービスを実現する施設です。利用者の状態やニーズに応じて「通い」「訪問」「宿泊」を柔軟に選んで利用できることが大きな特徴です。
参加者からは、介護保険自己負担額の割合や金額、利用者の要介護度についてなどの質問があり、株式会社エスポワール代表取締役の甘利氏やスタッフの方々が回答しました。
ベトナムでの普及を目指して
今回のベトナム関係者の来日を通して、日本の介護福祉制度やエスポワール社の運営する介護施設サービスの詳細だけでなく、地域医療の重要性や佐久市の健康長寿に対する取り組みなどの地域特有の取り組みにも触れる機会となりました。
今回の来日を通して、ベトナムの高齢者福祉や人材教育について、さらなる相互理解と株式会社エスポワールとの連携が進むことが期待されます。
【プロジェクト詳細】
案件名：ベトナム国日本式介護学校と介護センターの一体運営モデルの普及・実証・ビジネス化事業
期間：2024年2月～2026年8月
対象国・地域：ベトナム国ハノイ市及びヴィンフック省 フックイエン市
カウンターパート機関：バクマイ病院
案件概要：自立支援に基づくベトナム語版介護教育カリキュラムと、ライセンス制度の検討を行い、日本式の地域包括ケアの要となる多機能な介護センターとの一体運営モデルの普及を目指す。
案件概要図：PowerPoint プレゼンテーション
市民参加協力第一課 半谷・塚元
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