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“すべては一人の想いから始まった”  アフリカで活動中のNPO代表お二人をお招きし、座談会を開催しました!

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

2025.06.19

アフリカの地で、医療アクセスと性教育の課題に取り組む二人のNPO法人代表。彼女たちの心を突き動かしているものとは?そして知れば知るほど見えてくるアフリカの魅力とは?8月開催のTICADと5月25日「アフリカの日」にちなみ、「アフリカの現場から見えてくるもの 〜ゼロから始めたリアルストーリーと情熱の原点〜」と題して、40名を超える参加者と共に、JICA東京スタッフの伊治がお話をうかがいました。

「あの時、私はどうすればよかったのか?」 この問いが始まりだった

一人目はNPO法人AfriMedico代表理事の町井恵理さん。JICA海外協力隊のニジェールでの原体験をきっかけに、日本伝統の"置き薬“からヒントを得て、タンザニア農村部で医療アクセスの仕組みづくりをしています。
「ニジェールでは、病院までの交通費が工面できない、また病院に行けたとしても十分な医療が受けられずに亡くなっていく患者さんを多く見てきました。 “日本だったら助かったかもしれない。あの時、私はどうすればよかったのだろう?” この問いは今でも問い続けており、活動の活力にもなっています」 
語り口調が穏やかな町井さんですが、この言葉には葛藤や苦悩を乗り越え、薬剤師としてできることに向き合ってきた背景が伺えました。目の前の人に手を差し伸べるべきか、それとも長期的な視点でのサポートを優先すべきか、答えのない問いのように感じます。
一方でアフリカの魅力を次のように語っています。「幸せや豊かさの捉え方の違いです。“なにかしてあげたい”と思って渡航しましたが、現地には彼らなりの幸せがあって日々の生活を楽しんでいます」
最後に、団体メンバーやサポーターへの感謝とともに、“OKIGUSURI(事業地でもこう呼んでいます)”事業を通して、アフリカと相互に成長していける構想をしていきたいと語ってくれました。

「やるべきことは山ほどある」 代表としての使命と責任

そして、もう一人はNPO法人Alazi Dream Project代表理事の下里夢美さん。高校生の時にテレビで見たシエラレオネの少年“アラジくん”が、内戦で両親を殺され兄弟を養うため働かなければならないなか、学校に行きたいと願う姿にショックを受け、活動を始めました。シエラレオネですべての子どもたちが公教育を受けられることを目指し、現在は性教育の提供や若年妊娠女性の生活支援に力を入れています。
やりがいについて聞いたところ、意外にも「やりがいを感じる時は少ない」との答えが。その理由として「妊娠や出産を経験した66名の女の子へ学業継続支援をしていますが、それはほんの一握り。やるべきことはまだ山ほどあります。この活動は70歳まで続けるつもりです」とのお話に、冷静に向き合い続ける姿勢を感じました。
当初は不条理や怒りが原動力でしたが、今は団体メンバーやサポーターへの感謝の気持ちとのこと。「皆が想いを託してくれる場所だからこそ、代表として守っていかないと」 下里さんらしい力強さのある言葉です。
そしてアフリカの魅力については、「頑張り過ぎなくていい、という雰囲気。幸せには「もっともっとと刺激を求めるタイプの幸せ(ドーパミン的)」と「他者とのつながりや共感による幸せ(オキシトシン的)」がありますが、日本人の多くは前者。ですがシエラレオネには仲間とのお喋りを楽しみ、些細なことにも幸せを感じる人々の姿があります」
今後の展望のひとつは“産業を興すこと”。これからもシエラレオネに寄り添い続けます。

強い想いが周りを変え、共感を生んでいく

本セミナーには学生も参加し、開催後アンケートでは「今後の活動意欲をかき立てるものだった」「組織に頼らず、自力で国際協力に取り組む方々の強さを知った」との声が寄せられました。
モデレーターを務めた伊治本人も、JICA海外協力隊として2年間ケニアにいた経験があります。文化や環境への戸惑い、心無い言葉で落ち込むこともありましたが、困っていたら手を差し伸べてくれるケニア人の温かさに幾度となく救われました。
そんなアフリカで活動するお二人の強い想いが周囲の心を動かし、共感を生んできたのだと思います。これからの活動にも心を寄せていきたいです。

(JICA東京センター 伊治由貴)








◆お二人の活動について知りたい方はこちら
特定非営利活動法人AfriMedico
特定非営利活動法人Alazi Dream Project

◆JICA基金活用事業について知りたい方はこちら
世界の人びとのためのJICA基金 | 事業について - JICA

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