「長期研修員の素顔と魅力④~」
2025.12.11
2025.12.11
JICA東京では、2025年JICAインターンシップ・プログラムに参加している日本の大学生・大学院生を受け入れております。インターン生による、開発途上国からの留学生へのインタビュー記事をご紹介いたします。
インタビューアー:小西玲寧(早稲田大学)
今回ご紹介するのは、グアテマラ出身で現在、早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科で国際関係を専攻している
LOL ALVAREZ Kanek Alejandro さん です。
福岡での4年間の滞在経験、日本との協力関係に強い想いを持つ Alejandroさんに、日本での学びや研究、そして将来のビジョンについて伺いました。同じ大学ということもあり大学構内にあるカフェでお話を伺いました!
グアテマラのコーヒーは品質が高い一方、多くが生豆のまま輸出され、生産者の利益は限られています。
Alejandroさんの研究はこの課題に挑みます。
テーマは「付加価値コーヒー(焙煎豆)の輸出が小規模生産者にもたらす費用便益分析」。
・生豆ではなく焙煎豆で輸出すると採算は取れるのか
・必要な投資額
・小規模生産者が得られる追加収益
・技術習得や日本市場との接点などの非金銭的価値
を 実データに基づいて定量的に評価します。
現地の生産者や協同組合からコスト情報を収集し、日本のロースターやコーヒー店に価格をヒアリング。さらに、焙煎豆輸出に必要な制度や手続きを調査するなど、現場と学術を往復する実践的な研究です。「研究成果を論文のためではなく、生産者が実際に使える形にすることを目指しています」という言葉が印象的でした。
SCAJ 2025に参加したAlejandroさん(写真中央)
早稲田大学大学院では、国際貿易・外交・経済発展を中心に学んでいる Alejandroさん。
研究がビジネスに近いため Waseda Business School の科目も積極的に履修しており、理論と実務の両面から知識を深めています。午前中は講義、午後は図書館やラウンジで研究に取り組むことが多く、「友人と一緒に作業することで新しいアイデアが生まれる」と話します。日本の大学院生活は、「理論と実践が両方求められる点が魅力。現場で役立つ力を確実に身につけられている」と語っていました。
友人と入学式での一枚!
Alejandroさんの将来の選択肢は、国際協力機関・政府機関・民間企業、そして起業と幅広く開かれています。しかし、共通して大切にしている軸は協力による持続可能な経済成長です。彼が掲げる使命は、
・グアテマラの小規模生産者の所得向上
・日本との双方向の協力拡大
・持続可能なバリューチェーン構築
・国際貿易の利益を「現場の人々」に届けること
さらに現在、仲間とともにグアテマラ産コーヒーを日本に直接届けるスタートアップ の立ち上げも進めており、研究成果を実務に生かす挑戦を進めています。
九州大学卒業時に研究内容で賞を受賞!
Alejandroさんは、グアテマラ、インド、ヨーロッパ、日本と複数の地域で生活し、多国籍チームでの協働経験を積んできました。その中で培った価値観は、
・国や文化が違っても、人が大切にしているものは大きく変わらない
・協力の基盤は「相手を理解しようとする姿勢」
・文化の違いを橋渡しし、多様な人を巻き込むことが国際協力には不可欠
こうした経験を通じてまさに “協働を生み出す力” を備えた、未来のグローバルリーダーへと成長しています。
今後のさらなる活躍に期待がいっぱいです。
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