「長期研修員の素顔と魅力⑤~」
2025.12.12
2025.12.12
JICA東京では、2025年JICAインターンシップ・プログラムに参加している日本の大学生・大学院生を受け入れております。インターン生による、開発途上国からの留学生へのインタビュー記事をご紹介いたします。
インタビューアー: 菅澤愛奈(上智大学)
今回、南アフリカ共和国出身で、現在新潟大学に留学中のリンディウィさんにインタビューしました。母国で、貿易・産業・競争省で勤務した経験を持ち、博士号の取得を目指し、農業経済学を研究しています。特に、気候変動が農業へ与える影響と、その課題に対する持続可能な解決策に関心をもち、国際色豊かなクラスメイトとともに、未来の農業を支える研究に取り組んでいます。
日本生活でのハイライト、富士登山の様子
リンディウィさんの日本での生活は、言語や気候の大きな違いに適応することから始まり、数々の貴重な学びをもたらしました。新潟の厳しい冬に慣れるのは簡単ではありませんでしたが、彼女はその中で得られる特別な体験を前向きに受け入れました。
特に心に残ったのは、地域の人々との温かい交流です。交流会やマラソン大会、友人からの紹介を通じて、多くの日本人、特に年配の方々と出会うことができました。こうした出会いは、相互理解や文化交流を深め、南アフリカについて語る貴重な機会にもなりました。さらに、何軒もの日本の家庭に食事に招かれたことは、彼女にとって忘れられない経験となり、コミュニティへの親しみや一体感を大きく高めました。リンディウィさんは、この豊かな体験と与えられた機会に心から神に感謝しています。
もう一つの大きな発見は、友人から教わった「生きがい(IKIGAI)」という概念でした。初めて耳にしたとき、彼女はその深い意味に強く心を動かされました。好きなこと、世界が必要としていること、そして自分の経験をどう生かせるか――
その交わるところに人生の目的があるという考え方です。リンディウィさんは、これからの人生において、この哲学を体現し、大切にしていきたいと願っています。
リンディウィさんは、これからの歩みを小さな一歩から始め、自らできる範囲で日本と南アフリカの地域社会や企業のつながりを強化したいと考えています。現在の課題は、留学中に企業との接点が限られていたため、アフリカに関心を持つ企業とのネットワークづくりです。それでも、こうした関係を築くという彼女の情熱はますます高まっています。
2025年8月に横浜で開催された「Youth TICAD9」の運営チームに参加した経験は、日本とアフリカの双方向の関係構築の重要性を改めて実感させるものでした。リンディウィさんは、この関係を一方的なものとして捉えるべきではないと強く信じています。アフリカの人口増加と豊富な資源を踏まえ、日本企業によるさらなる関与を強く提唱しています。彼女は、技術、知識交流、商取引、人材育成など、双方が同時に与え、恩恵を受ける「双方向の投資」として、この関係を発展させることができると考えています。
TICAD9のサイドイベントで司会を務めている様子
今回のリンディウィさんへのインタビューは、私にとって改めて日本を見つめ直す機会となりました。最後にいただいた「新しいことに挑戦することを怖がらず、そして旅をしてほしい」というメッセージがとても印象に残っています。その言葉通り、挑戦と出会いにあふれるリンディウィさんのお話は、とても刺激的で、インタビューを通じて私自身も「南アフリカ共和国に行きたい!」と自然に思えるほどでした。
リンディウィさんの温かい人柄に触れることのできたインタビューでした。
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