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「長期研修員の素顔と魅力⑫~」

2026.02.12

JICA長期研修課では、2025年JICAインターンシップ・プログラムに参加している日本の大学生・大学院生を受け入れています。本記事では、インターン生による開発途上国からの留学生へのインタビューをご紹介します。

インタビューアー:五味颯真(東京外国語大学)

JICA長期研修員の紹介:Ms. Nyam Lydia Ajiji(信州大学)

今回は、ナイジェリア出身で信州大学に在学中のNyam Lydia Ajijiさん(以下、リディアさん)にインタビューしました。リディアさんは、ナイジェリア連邦農業・食糧安全保障省で科学責任者として勤務しており、日本での暮らしや学業、将来の展望についてお話を伺いました。

交流セミナーで発言するリディアさん

1.リディアさんがJICA長期研修と出会うまで

リディアさんは、ナイジェリアの政府機関で勤務する中でJICAの長期研修プログラムに推薦され、日本で学ぶ機会を得ました。来日前から日本の「文化的な思いやり」「秩序」「自然保護に対する意識」に強い関心を抱いていたとのことです。特に、日本では野生動物が道路を渡る際、車が必ず止まって動物が横断し終わるのを待つという文化に魅力を感じていました。また、日本の犯罪率の低さも渡航前に抱いていたポジティブなイメージの一つだそうです。

2. リディアさんの研究内容

リディアさんの研究テーマは「GPSデータを用いた牛の行動分類」です。近年、農業従事者の減少や耕作放棄地の増加が課題となっており、畜産農家にとって重要な効率的な家畜管理についての研究を行っているとのことです。牛の行動をGPSで追跡し、そのデータを解析することで、より簡易なモニタリング技術の開発を目指しているそうです。この研究は、農業の省力化や持続可能な畜産管理に貢献する可能性を秘めていると説明していました。
日本に来るまで動物の世話をした経験はなかったそうですが、現在は毎日農場に通い、動物の世話や体調管理に取り組んでいるとのことです。

大学内での研究風景

3.日本でのカルチャーショックと思い出

来日当初は、日本の交通ルールや箸の使い方などの食事のルールに慣れるのに、特に苦労したとのことです。
日本語はほとんど話せない状態で来日しましたが、大学の日本語クラスやアプリを活用し、少しずつスキルを伸ばしていったそうです。現在はひらがな・カタカナの読みや簡単な漢字が理解できるようになり、リスニング力も向上していることを話していました。好きな漢字は「木」で、自然の本質と精神の象徴であり、シンプルで美しいからだそうです。 
最も印象に残っているのは、長野でのスキー体験で、雪の中でスキーをするのは初めてで、忘れられない思い出になったと語っていました。また、趣味としてバードウォッチングも楽しんでいるそうです。大学周辺は自然が豊かで、鳥の観察には最適な環境だそうです。

長野県での初めてのスキー

バードウォッチング

4 日本とのかかわりの中での学び

JICAの文化交流イベントとして新潟で開催されたセミナーにも参加したことを紹介してくれました。このセミナーでは、日本の開発史をテーマに、江戸時代から明治時代、そして戦後復興までの歩みを学んだそうです。事前にオンライン講座で基礎知識を習得し、現地では大学教授陣と直接意見交換を行ったとのことです。日本がどのように戦後の困難を乗り越え、現在の発展を遂げたのかを学び、自国ナイジェリアの課題と日本の経験を照らし合わせ、国際協力の可能性について深く議論したそうです。
さらに、日本獣医生命科学大学との交流セミナーにも参加し、山梨での学生発表や意見交換、フィールドツアーや農場見学を通じて、群れの管理(畜群衛星)についてより深い知識を得ることができたことも語ってくれました。

5.ナイジェリアの将来を担う人材として

帰国後は、ナイジェリア政府の職員として政策立案に携わり、日本で学んだ知識や経験を活かして農業分野の改善に貢献する予定だそうです。また、JICAを通じた国際協力プロジェクトやアフリカ諸国との連携にも積極的に関わっていきたいと考えています。さらに、日本で学んだ「効率性」「リーダーシップ」「思いやりの文化」を自国に持ち帰り、社会にポジティブな変化をもたらすことを目指していると説明してくれました。

6.終わりに

今回のインタビューで印象に残ったのは、異国の地でも新しいことに挑戦しながら常に学び続けるリディアさんの姿勢です。箸の使い方や初めて学ぶ日本語、スキー体験など、ナイジェリアでは経験しないようなことにも臆せず挑戦するリディアさんを見て、私自身も新しい環境でも前向きに挑戦し続ける人でありたいと感じました。また、リディアさんが「野生動物のために車が止まることは自分の国ではあり得ない」と話していたことにとても驚きました。同時に、日本での日常を当たり前だと決めつけず、常に視野を広げていきたいと強く感じました。

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