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幼稚園が、地域の“栄養拠点”に!―幼児の栄養改善をめざす、新たなしくみづくり―

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

2026.04.03

特定非営利活動法人HANDSは、2022年12月よりJICA草の根技術協力事業(パートナー型)「地域に開かれた幼稚園:ケニア国ケリチョー郡の幼児の栄養改善に向けて」を開始し、幼稚園および地域コミュニティを対象に、2~5歳児の栄養改善に取り組んできました。

本事業の特徴は、幼稚園と地域が一体となり、幼児の栄養状態を継続的に見守るしくみを構築していること。ケニアでは生後の予防接種は1歳半ごろまでに完了し、4歳で幼稚園に入園するまで保健施設と関わる機会はほとんどありません。しかしこの時期は「生後1000日」と呼ばれ、心身の基礎をつくる大切な時期。こうした“取り残された年代”にアプローチすべく、4つの幼稚園を拠点として事業を展開しています。

給食プログラムの時間になると手を洗うために列をつくる子どもたち。家庭に帰ってからも食事の前には手を洗う習慣が身につき始めています。

HANDS独自の取り組み「幼稚園栄養デー」

では、このHANDS独自の体制はどのように成り立っているのでしょうか。本事業の目玉ともいえる取り組み「幼稚園栄養デー」をご紹介します!
幼稚園栄養デーは、幼稚園に通う4~5歳児と、就園前の2~3歳児を対象に、4か月に1度実施しています。①成長モニタリング(身長・体重測定)、②給食プログラム、③幼稚園モデル菜園、④保護者も交えた遊びの時間 の4つを柱としており、教員、地域保健ボランティア(以下、CHP)、栄養士、農業普及員、教育局員が幼稚園で実施しています。
ここでは代表的な3つの活動をご紹介します。まず1つ目は、成長モニタリングです。

<成長モニタリングの流れ>
①測定:4~5歳の園児は身長と体重、就園前の2~3歳児は体重のみ測定します。

CHPが幼児の足の位置を直しており、研修で学んだポイントが実践されていました!

②判定:測定データをもとに、教員が栄養状態を判定します。

③指導:栄養不良と判断された場合は、栄養士による指導を受けます。

④つなぐ:CHPが家庭を訪問し、保健施設へ継続的に通えるように見守ります。

栄養不良と判定された幼児は保健施設で栄養士の指導を受ける対象として、その場で登録され継続的なフォローにつなげられます。保護者が見学に来ている、あるいは2~3歳児の場合は、その場で栄養士から直接指導を受けることができ、教育と保健の連携体制が現場で機能しているのです。
この連携は幼稚園栄養デーだけに限らず、教員が保護者に子どもを保健施設へ連れていくよう働きかけ、栄養士がいない近隣の保健施設にはNGOや保健局が栄養士を定期的に派遣するなど、連携体制が構築されています。「測定して終わりではない」という点がこの取り組みの特徴です。

2つ目は、朝10時のおやつ、給食プログラムです。
ケニアで一般的に食べられている「ウジ」と呼ばれるお粥からコストのかかる砂糖を抜き、栄養価の高いピーナッツや大豆(すべて幼稚園モデル菜園で収穫)を加えた新メニューを開発しました。開始当初は甘くないウジに大人たちが戸惑いを見せていましたが、園児にとっては大人気のメニューです!
材料にはミレット、ソルガム、白とうもろこし等、一般家庭で栽培している栄養価の高い食材を使っており、すべて保護者からの寄付で成り立っています。

さらに、砂糖を抜いたウジにケリチョー郡教育局COが関心を示し、郡幼稚園 給食普及計画で採用する方針が打ち出されました。行政レベルでの制度化へと繋がる大きな変革です!

そして最後3つ目が、幼稚園モデル菜園です。
幼稚園を併設する小学校には「4-Kクラブ」と呼ばれる農業クラブがあります。クラブ員は野菜栽培やコンポストづくりを通じて家庭菜園の実践方法を学び、それを家族など周囲に伝えていく活動をしています。8区画に分けた畑では大豆、サツマイモ、伝統野菜、ソルガム、パパイヤといった多様な野菜を栽培しています。本事業ではCHPも家庭訪問時にモデル菜園を普及しており、学校と地域をつなぐ実践の場としても機能しているのです。

4-Kクラブ員による、コンポストの作り方の発表の様子です。

幼稚園との連携では、4-Kクラブで育てたサツマイモや人参が、給食プログラムのウジに添える一品として提供されています。園児の栄養改善にも貢献しているのです!

子どもたちの未来を支える仕組みの広がりへ

この地道な取り組みにより、事業開始時と比べて栄養不良児が14%も減り(そのうち重度は38%減)、栄養士の指導を受ける幼児が増えました。給食プログラムに対する保護者の理解が進み、家庭菜園では栽培作物の種類が増え、幼児の食事のバランスも向上しています。

これらの成果には、教員、CHP、栄養士、教育局員、農業普及員、そして小学校4-Kクラブ員のように本事業の関係者の働きかけが、幼児の家族や地域住民の意識や行動を徐々に変化させていったという背景があります。これから未来を担っていく子どもたちが、健やかに成長していくための仕組みづくりの広がりに期待です!

プロジェクトマネージャー 八木氏のコメント


◆実施団体HP 特定非営利活動法人 HANDS | HANDS(ハンズ)は、保健医療の仕組みづくりと人づくりをおこなう国際協力NGOです。
◆案件概要表 事業提案書要約

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