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森と人を守る紅茶づくり ―草の根技術協力で支援するスリランカの有機紅茶栽培―

2026.04.07

「環境にも健康にも優しい紅茶を作りたい」そんな現地茶農家の声をきっかけに始まった事業

JICA東京は、NPO法人パルシックの提案による草の根技術協力事業として、スリランカ南部のデニヤヤ地域で小規模農家による有機紅茶づくりを支援しています。

世界に名高い「セイロンティー」を生み出すスリランカ。その紅茶生産の約7割は、小規模農家の手に委ねられています。一方、長年続いてきた化学肥料や除草剤に頼る栽培は、土を痩せさせ、森を弱らせ、農家自身の健康にも影を落としてきました。
そんな中で、「自然環境を守りながら、働く農民の健康も守る美味しい紅茶をつくりたい」という農家の思いに応える形で本事業は始まりました。

事業地のデニヤヤは、世界自然遺産シンハラージャ森林保護区に隣接する緑豊かな土地です。この環境を守ることは、紅茶づくりそのものを守ることでもあります。

土の声を確かめながら ―農家が探る最適な堆肥づくり―

有機栽培への転換は、いかに栄養分に富む有機堆肥を作れるかが重要です。本事業では、従来からある現地の堆肥づくりに加え、日本での研修や堆肥専門家の派遣を通じて、日本式の有機堆肥の考え方や作り方も伝えています。農家は複数の堆肥や液肥を試作・比較し、現地で入手可能な材料を使ったより効果的な堆肥を模索しています。

堆肥の温度変化を毎日記録し、発酵の具合を確かめながら、自分の畑に合った方法を探ります。手間のかかる作業ですが、その一つひとつに、土と向き合う真剣なまなざしがあります。

手間を重ねた先に生まれる、有機紅茶の価値

その努力は、少しずつ実を結び始めています。有機茶葉の収穫量は増え、品質も向上。茶工場と連携した摘採指導により、高く評価される茶葉の割合も大きく伸び、農家の収入も確実に増えてきています。有機栽培は手間もかかりますが、「環境を守りながら生計も成り立つ」ことが示されつつあります。

紅茶加工場でいただいた一杯の有機紅茶は、驚くほどやさしい味わいでした。口の中に広がる自然な甘みと香りは、森と土、人の手仕事が織りなす時間の積み重ねそのものです。

広がり始めた、有機紅茶づくりの輪

現地では、パルシックのスタッフや研修を受けた農家の存在が、有機栽培への関心と信頼を高め、新たに有機栽培に挑戦する農家も増え始めています。「森が健康でなければ、人も健康になれない」。そんな言葉を胸に、環境・暮らし・味を大切にした紅茶づくりの輪が、静かに、しかし確かに広がっています。
今後も、パルシックの現場力と日本の技術を掛け合わせた、スリランカの大地に根づく持続可能な紅茶づくりを支援していきます。

【関連リンク】
本事業の概要:案件概要表
NPO法人パルシック:
認定特定非営利活動法人パルシック|市民の力で国境を越える国際協力NGO
スリランカ・デニヤヤでの紅茶事業 ~有機栽培への期待と拡大の難しさ~| パルシック
美味しい紅茶に出会う旅 2025 in SriLanka:ツアー参加者からの感想文集| パルシック

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