【群馬県】【民間連携事業】JICA Biz採択企業・株式会社成電工業 モンゴル現地調査‐現地ビジネス展開の可能性を確認
2026.05.25
モンゴル国食品・農業・軽工業省を訪問し、葉物野菜の生産・流通の実態(生産量や輸入状況)について情報収集を行いました。気候や流通インフラの制約により安定供給が難しく、輸入依存度が高い現状が確認されました。これを踏まえ、同国の農業分野の課題や今後のビジネス展開の可能性について検討が深まりました。
続いて生命科学大学を訪問しました。同大学からは、これまでも水耕栽培装置の導入を試みた企業が複数あったが継続に至らなかった事例とともに、その要因として市場性や収益性確保の難しさが共有されました。一方で、葉物野菜の生産に加え、より単価の高い作物への展開の可能性についても示唆がありました。
成電工業からは、同社の取り組みは単なる農業ビジネスではなく、障害者の就労機会創出も目的とする「農福連携事業」である点、収益性のみならず、社会的価値の創出を重視した事業モデルである点を説明しました。意見交換を通じ、机上調査では得られない現地の制約やニーズに関する具体的な情報を得ることができ、今後のビジネス展開におけるヒントを掴むことができました。
モンゴル国食品・農業・軽工業省にて情報収集を行っている様子。
成電工業社が水耕栽培で育成したレタスを生命科学大学の教授に見せながら説明している様子。
障害者就労促進センターでは、障害者に対する福祉制度や雇用の現状、就労促進の取り組みについて説明を受け、制度運用上の課題について意見交換を行いました。また、関連する補助金や公的支援制度について確認し、事業実施時の活用可能性について理解を深めました。
JICAモンゴル事務所では、同国の開発課題や協力の方向性、民間企業との連携可能性について意見交換を行い、現地での事業展開に向けた示唆を得るとともに、今後の具体的な連携について確認しました。
障害者就労促進センターでの打ち合わせの様子。
JICAモンゴル事務所での意見交換の様子。
モンゴルレストラン協会では、水耕栽培レタスの価格や輸入状況、消費者の購買傾向についてヒアリング・意見交換を行いました。輸入レタスは韓国や中国など複数国から供給されています。日本産は品質面で評価される一方で価格が高く、高級志向の飲食店での採用が見込まれるとの見解が示されました。
一方、一般的なレストランでは、料理に使用する野菜の「産地」や「ブランド」を意識する消費者は多くなく、飲食店側では価格や安定供給が重視されるため、コストパフォーマンスを重視した調達が行われている実態が確認されました。なお、スーパーマーケットで野菜を購入する消費者の行動はやや異なり、家庭で調理する場合、特に子ども向けの食材では、産地や安全性への関心が高まる傾向があるとの言及もありました。
モンゴル商工会議所では、ビジネス環境や投資動向、現地企業との連携可能性について意見交換を行いました。現地ネットワークの活用やパートナーシップ構築の重要性を確認しました。
今回の調査では、両国の福祉制度の違いによる課題や現地のコスト感、食や健康に関する意識、さらには過去の他事業者の失敗事例など、多くの示唆を得ることができました。今後は、こうした結果を踏まえ、現地ニーズや事業環境に即した形で事業計画のブラッシュアップを進め、事業化に向けた具体的な検討を進めていきます。
モンゴルレストラン協会での意見交換の様子。
モンゴル商工会議所で意見交換している様子。
モンゴル国農福連携による野菜工場のニーズ確認調査
調査期間:2025年5月~2026年5月
対象国・地域:モンゴル国ウランバートル市、ダルハン市
案件概要/調査概要:高品質な葉物野菜への顧客ニーズと生産可能性、および障害者雇用を目的とする野菜工場の受容性を検証する。JICA Biz支援終了後も提案製品である野菜工場のビジネス展開を図り、高品質な葉物野菜を通年で供給を可能とし、障害者の安定した就労環境の創出への貢献を目指す。https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1652/Nz241025_summary.pdf
JICA東京・高崎分室
山本 美香
乾 雄介