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防災を“自分ごと”として考える ~インドネシアの村で見た、住民主体の防災プロジェクト~

2026.09.03

最近、日本各地で地震や豪雨などの自然災害が相次いでいます。皆さんもご存じの通り、9月は「防災月間」です。インドネシアで実施している防災プロジェクトを通じて、防災について改めて考えてみませんか?

洪水とともに生きる人々

日本から飛行機と車を乗り継いで約3日。今回訪問した事業地は、インドネシア東ヌサ・トゥンガラ州のティモール島に位置するマラカ県です。

特定非営利活動法人CWS Japanはこの地域を対象に2024年12月から、JICA草の根技術協力事業「インドネシア国気候変動適応策の強化と技術支援によるコミュニティ災害レジリエンス向上(I-CREATE)」を実施しています。

丸で囲んだのが、事業対象地のマラカ県がある地域

マラカ県では洪水がほぼ毎年発生し、2021年にはサイクロン・セロージャによる大規模災害が発生しました。住民の多くは農業を営んでおり、洪水によって家や畑、家畜にまで深刻な被害が及びます。「なぜ別の場所へ移り住まないのだろうか」という疑問が浮かぶかもしれません。しかし、そこには先祖代々受け継いできた土地や森林があるため、住民にとって災害と共存しながら暮らしていくことが現実的な選択なのです。

堤防が決壊し、腰の高さまで水が押し寄せることも

科学と地域の力を組み合わせる

本事業の特徴は、地域住民の経験だけでなく、気象データやGIS(地理情報システム)、AIなどの科学的知見も活用している点です。行政、住民、NGOが連携し、防災訓練やコミュニティ防災計画・ハザードマップの作成、水路の清掃・植林活動、「防災に強い村」認定への申請などを通じて、「災害に強いコミュニティづくり」を目指しています。

実施団体CWS Japanのサポートを受け、現地の連携NGOがハザードマップを作成

「災害で亡くなる人をゼロにする」防災訓練

Oan Mane村で行われた防災訓練をご紹介します。約100人の住民をはじめ、村長や村災害管理チームなどが参加し、洪水が発生した想定で訓練が行われました。

避難指示が発令されると、子ども、大人すべての住民たちが村の集会場へ避難する

訓練は「平常時」から始まり、大雨が降り始めると「警戒」、さらに風雨が強まると「警戒強化」、ついに川の氾濫が始まると「危険」へと徐々に段階をあげていきます。避難指示が出ると、拡声器やWhatsAppに加え、「カララク」と呼ばれる伝統的な呼びかけにより即座に住民に知らされます。その後、避難所運営に加え、最後は自宅へ戻るまでの一貫したシナリオとなっています。

「カララク」による避難の呼びかけ。この役目を担う女性が村を歩き回って避難を呼びかける

この訓練の根底には、「災害で亡くなる人をゼロに」という強い思いがあります。お年寄りや妊婦、障がいのある方など、災害時にサポートが必要な人の居場所を住民同士で把握し、確実な避難につなげる仕組みづくりが進められています。こうした防災を「自分ごと」として捉える意識や日頃の繋がりが地域の防災力を強化しており、その声は行政にも届き始めています。

自力で避難が難しい高齢者や障害のある方は、村災害管理チームがストレッチャーで自宅から誘導する

日本の防災にも通じる学び

インドネシアで見た住民同士の強いつながりや主体的な防災活動は、日本の地域防災にとっても大きなヒントを与えてくれています。防災にはインフラ等のハード対策だけでなく、人と人のつながりや意識の変化といったソフト対策も欠かせません。
洪水はこれからも起こるかもしれません。しかし、その被害を最小限にするために今できることはあります。
防災を「自分ごと」として捉えることの重要性を改めて実感するとともに、残り1年半のプロジェクトが地域にどのような変化をもたらしていくのか注目していきたいと思います。

村の住民たちで自主的に開催している「防災リスク軽減フォーラム」。防災への意識の変化が着実に進んでいる


◆案件概要はこちら 案件概要表
◆実施団体が発信するNote記事もぜひご覧ください CWSJapan|note

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