国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月)

JICAは、2008年10月1日の統合に伴い、2002年4月1日に旧国際協力銀行が制定した「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」及び2004年4月1日にJICAが制定した「JICA環境社会配慮ガイドライン」を統合し、2010年4月1日付で新たに「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(以下「環境社会配慮ガイドライン」という。)として公布し、2010年7月1日付で施行しました。また、異議申立手続要綱についても同時に公布いたしました。

環境ガイドラインに関して良く寄せられる質問とその回答をご紹介いたします。環境ガイドライン本文が分かりづらい場合には、こちらも併せてお読み頂ければ幸いです。

環境ガイドラインの検討にあたり透明性の確保という現行JBIC・JICAガイドラインの規定を踏まえ、学識経験者、NGO、産業界、日本政府関係者からなる有識者委員会及び国内外からパブリックコメントを受け付け、約2年に亘り検討されました。

環境ガイドラインにおける主な改善点は以下のとおりです。

(1)有償、無償、技プロに共通の手続きを設定

スキーム別に異なっていた2つのガイドラインの手続きを、1つのガイドラインの下に共通化した。これにより3つの援助手法を一体的に活用するというJICAの業務に対応したガイドラインが策定された。

(2)情報公開の拡充

情報公開対象として、環境許認可証明書、住民移転計画、先住民族計画及びモニタリング結果が新たに加わりました。

協力準備調査の実施決定前に案件概要、カテゴリ分類を公開します(同調査を行わない場合は要請受領後)。その後、カテゴリA案件(重大な影響の可能性のある案件)は、環境レビュー前に、a.協力準備調査最終報告書、b.環境アセスメント報告書(合意文書締結120日前)および環境許認可証明書、c.住民移転計画書、先住民族計画(作成が必要な場合)を公開します。さらに、合意文書締結後に環境レビュー結果を、モニタリング段階で相手国の了解を前提にモニタリング結果を公開します。

(3)環境社会配慮助言委員会の関与拡大

外部専門家からなる環境社会配慮助言委員会(「環境社会配慮審査会」を改称)の関与も拡大します。主にカテゴリA案件(重大な影響の可能性を持つ案件)について、協力準備調査段階だけでなく、環境レビュー段階(審査段階)、モニタリング段階(実施段階)でも、JICAからの報告に対して、必要に応じ助言を行うことになります。

(4)環境社会配慮要件の強化

確認すべき環境社会配慮要件が強化されます。例えば、住民移転が生じる場合は、可能な限り再取得費用に基づき補償額を算定する必要があります。また、先住民族に影響を及ぼす場合は、「十分な情報が提供された上での自由で事前の協議」を踏まえた合意形成が求められます。これらにより世界銀行の「セーフガードポリシー」との整合性が高まりました。

環境ガイドラインの見直し

環境ガイドラインで規定されている「運用面の見直し」プロセス、及び見直し結果について公表しています。