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授業実践紹介vol.7 「持続可能な暮らしへ 物やお金の使い方~環境と人権を大切にする地球市民になろう~」(愛知県大治町立大治南小学校)

2021年12月7日

愛知県大治町立大治南小学校で家庭科を教える児玉やこ先生は、2016年の夏、JICA中部の教師海外研修でパラグアイを訪問。
2019年、そして2021年は、JICA地球ひろばが主催する「国際理解教育/開発教育指導者研修」に参加され、全国で継続的な授業実践に取り組まれている先生方と意見交換やディスカッションを重ねました。

本単元「持続可能な暮らしへ 物やお金の使い方」は、小学校の家庭科の単元の中で唯一、「消費生活」について学ぶ単元です。

生徒はこれまで「食」について考えてきました。本時はこの学習の第3時となる授業、「衣」について考えます。

「子どもたちが授業を通して、世界とつながり、世界に想いを寄せる人になってくれたらうれしいな」と児玉先生。楽しみです!

自分の着ている服、世界とつながっている?

開発途上国からの輸入が50パーセント以上のものは?

JICA冊子「つながる世界と日本」

まずは、イラストを見て身の回りにあるものの中で、開発途上国からの輸入が50パーセント以上のものに手を挙げます。

パソコン、めがね、テレビゲーム、目覚まし時計、、、それらすべてが9割以上、開発途上国からの輸入です、テレビゲームは99.6パーセント!

次、「自分の服のタグを見てみましょう」

「メイドインバングラデシュだって」
「バングラデシュってどこ?」
「これなんて読むの?」「あ!カンボジアだ」

生徒はこれまたびっくり。自分の服も友だちの服もほとんどが輸入されたものでした。

ラナプラザ崩壊事故、映画「トゥルーコスト」

2013年バングラデシュの首都ダッカ近郊で発生した「ラナプラザ崩落事故」。世界的アパレルブランドの下請け工場が数多く存在するラナプラザビルが、朝のラッシュアワーに崩壊し、死者1,127人、行方不明者500人、負傷者2,500人にものぼる犠牲者を出した。

グループで派生図を作成

「うわぁ、、、」
写真をみて生徒から思わず声が出ます。

唖然とする生徒に向けて児玉先生は率直な説明をします。
「このビルの中でたくさんの人が服を作っていました」

自分の着ている服は、どこから来ているの?誰が作っているの?どのように作られているの?
そんなことを考えていた生徒は、世界とのつながりを想像し始めます。

そう、服は誰かが作っているのです。

映画「トゥルーコスト」の予告編を見ながら、すぐ捨てる服、働く人の環境など、さまざまな問題点を発見する中で、それらの問題がSDGsのゴール何番に関わるか意見を出し合いました。
●ゴール12「つくる責任つかう責任」
●ゴール3「すべての人に健康と福祉を」
●ゴール1「貧困をなくそう」
●ゴール10「人や国の不平等をなくそう」
●ゴール8「働きがいも経済成長も」

「これらの問題が解決されずに続くと、どうなるかグループで考えてみよう」
生徒は友だちの意見を聞きながら、思いおもいに派生図を作成していきました。

授業にはこうしたアクティビティが組み込まれ、生徒は集中力を欠くことなく作業にとりかかっています。

先生が単元を通して貫く発問。その先にあるものとは?

自分のダイアモンドランキングを作ろう!

最後に、第1時から取り組んでいる自分の「ダイアモンドランキング」を作成します。

ダイアモンドランキングは、カードを並べながら大切だと思うものを決定していく思考ツールです。
カードの順番が変わったり、その理由を考えたりすることで、自分自身の考えを深めていきます。

児玉先生が単元を通して貫く発問、それは「買い物をするときに、何を重視して品物を選ぶ?」ということ。
その答えを、生徒は授業の中でダイヤモンドランキングを用いることで、自分の考えを振り返り、自分の考えの変容に気づきながら、自分なりの答えを出していきます。

「ダイヤモンドランキングの順位や項目を級友と話し合う中で、持続可能な社会を創るために必要な見方や考え方を育てていきたい。」

子どもたちにとって、消費生活は身近なことであるとはいえ、家庭の消費生活の中心はまだまだ保護者です。
そのため児玉先生は、買い物をするときに何を重視するのか、子どもたちの考えだけでなく、保護者にもアンケートをとり、子どもたちの学習に巻き込んでいくと言います。
また、子どもたちの学びを保護者に発信することで、子どもたちとその家族とSDGs達成のために一歩を踏み出せるように進めていきます。

本単元はあと4時間続きます。最終的にどんなダイアモンドランキングができあがるのでしょうか。
その過程も含めて、とても楽しみですね!

(報告:地球ひろば推進課 竹信 裕美)

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