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授業実践紹介vol.8 「国本小学校×サミットストア 喜多見にSDGsの意識を広めよう!」(東京都世田谷区 国本小学校)

2022年6月3日

国本小学校は小田急線喜多見駅のすぐ近くにある全校300名の小学校です。
今回は5年生の授業を見学させていただきました。

学校の中には、5年生の皆さんが作成したSDGsの展示が数多くありました。
「なぜSDGsが作られたのか」「MDGsについて」「SDGsのウェディングケーキモデルについて」、それから「環境問題」のコーナーや「企業のとりくみ」のコーナーもあります。

教壇に立つのは、2021年度の国際理解教育/開発教育指導者研修に参加した齋藤悠真先生です。
齋藤先生は国本小学校の副教頭先生でもあり、継続してSDGsに関連した様々な取り組みをされています。

今回はJICA国際理解教育/開発教育指導者研修の前半研修(関連リンクを中段を参照)を通して作成し、研修アドバイザーが添削した指導案を用いた授業実践を見学させていただきました。

ここまでの取り組み

【実際に自然を体験する[総合的な学習・家庭科]】
4月に学校の校庭で桜の木の剪定があった際に、環境の視点から、切られた木の枝を何かに使えないかとみんなで話し合いました。

「箸を作る!」「ウッドチップを作る!」等いろいろな意見が出た中で、「木を使って布を染められるんじゃないか」という意見が出たそうです。

まずは、子どもたち自身で桜の木を束ねたり切ったり折ったりしてみます。
生木の感触、木の生の匂いなど、初めての経験だった子どもたち。
学校に染色家の方をお招きして、実際に木を煮て絹の布を染めました。

同じ木を使っても、同じ色になるわけではありません。一人ひとりが自分の色の布を作りました。
その布に自分のマーク(イニシャルや名前の一文字)を刺繍して、布の周りを袋縫いで綴じて、なんと袱紗(ふくさ)にしたのです[ここは家庭科で実践]。

世界でひとつだけの袱紗です。
校庭の木の枝からとても素敵なものができあがりました。すばらしい取り組みですね。
いずれ、この袱紗で茶道体験も行うそうです。

【セヴァンスズキさんの伝説のスピーチについて考える[道徳]】
次に、自分たちと同じ年代のセヴァンスズキさんが、環境問題の解決に向けて声を上げた伝説のスピーチについて学びました。
今から30年前に12歳の少女が環境サミットで発言したことに、驚くとともに共感したようです。

【エシカルマークの存在を知る[国語]】
次にエシカルマークについて学びました。
エシカルマークが付いている商品にはどんなものがあるのか・・・?
考えていたよりも多くのエシカルマークを見つけることができました。

夏休みには、SDGsに関連した企業の取り組みを調査しました。
1人6社を調べ、その中から特に興味を持った2社を選んで更に深く調べたそうです。
調べた結果は、SDGsのどのゴールに関連しているか、ということも考えて発表しました(手書きのすてきな作品が展示されていました)。

企業の取り組みは筆者も知らなかったことがたくさん!
途上国の子どもへの教育の支援、文具や明かりの提供、食料支援など、多くの企業が取り組んでいることがわかりました。

今回の授業

節電につながるナイトカーテン

今までの学習で学んだエシカルマークやエコパッケージの商品を次々に発見

店長さんと一緒に、海のエコラベルが付いた商品を探す

ひとつの写真から、SGDsのどのゴールに関連する取り組みなのかを結び付けていく

【地域を知る、SDGsを知る】
これまでの学習をもとに、地元の企業について学びます。

小学校の最寄り駅の目の前にあるスーパーマーケット「サミットストア」の店長さんから、“「GO GREEN」チャレンジ宣言”というサミットが制定しているSDGsに関する重点テーマを教えてもらいました。

そのテーマに関連づけ、「お客さんがいない夜の時間は、商品を効率的に冷やせるようにナイトカーテンで節電しているよ」「鶏肉はトレーを使わずエコ包装している」「地元で採れた野菜やお花をたくさん売るようにしているよ」など、企業のさまざまな取り組みを知ることができました。

【実際にサミットストアを訪問】
朝、開店前のサミットストアを訪問して、スーパーマーケットがどのような取り組みをしているのかを調べます。
二人一組でiPadを手に、SDGsに関連する商品や店舗の様子を写真に収めていきます。

「お菓子の袋、プラスチックから紙になっている!」「ナイトカーテン見つけた!」「値引きシール貼ってある!」「海のエコラベルが付いている商品ないかな?」と、子どもたちはこれまでの学習をしっかりと理解し、自ら発見することができていました。

【学校に戻り、まとめ作業】
自分たちが撮影したたくさんの写真が、“「GO GREEN」チャレンジ宣言”のどのテーマと関係し、SGDsのどのゴールに関連する取り組みなのかを結び付けていきます。

実際に店舗を訪れて自ら発見することで、SDGsをより身近なものとして実感できたようです。
子どもたちは夢中で作業を進め、友だちのまとめ結果にも興味津々でした。


今回の授業実践見学はここまででしたが、今後はこのまとめ結果を地域の方々に広めることを通して、自分たちができる「行動」や「協力」を見つめ直し、よりジブンゴトとして考えるようになってほしい、と齋藤先生はおっしゃっていました。

あとがき

3日間にわたり、授業実践を見学させていただきましたが、齋藤悠真先生の授業は、子どもたちの心をがっちりつかんで、とてもすばらしい授業でした。
さまざまなアイデアを形にするパワーはさすがです!

日々の授業では、「本物」と触れ合うことを大切にし、なるべく子どもたちの興味のある方向に寄せて行けるように心がけているといいます。
教育に対する情熱と生徒へ寄り添う姿、また、子どもたちの意欲的な反応を拝見し、改めて教育の大切さを感じた3日間となりました。

(報告:地球ひろば推進課 加藤眞佐美、井戸奈央)

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