【研修員受入事業】ワクワクドキドキ!JICA留学生とのオンライン交流イベントをしました!

2022年2月9日

左からアファクさん、アクマラルさん、ワンジさん

秋に来日して金沢工業大学大学院で学ぶJICA留学生3名が、初めての国際交流イベントに臨みました。当日は石川県・富山県だけでなく北海道や埼玉県、ブータンからも参加があり、留学生たちを含め合計56名がオンラインでつながりました。そして手元に届いたイスラム教のハラルクッキーを手に英語でのおしゃべりにチャレンジ。あっという間の2時間でした!(研修事業班 野吾奈穂子)
Note) English translation of Hokuriku Chunichi Newspaper follows at the end of this page.

Youは何しに金沢工業大学へ?

JICA北陸の国際交流イベントに初めて参加したのは、パキスタンのアファクさん、キルギスのアクマラルさん、ザンビアのワンジさん。3人とも金沢工業大学大学院で学ぶJICAの留学生です。JICAの事業でみなさんによく知られているのは青年海外協力隊事業ですが、日本人を海外に派遣するだけでなく、開発途上国の行政官を日本に招いて学んでもらう「研修員受入事業」も行っています。中でも、長期研修員の受入れ、いわゆる留学生事業は大学院で学ぶコースがあり、3人はこのコースに応募して金沢工業大学で学んでいます。「日本はインフラ整備の技術も優れているし、人材育成に力を入れている。だから日本を選んだ」と語るのはザンビア出身のワンジさん。3人は橋や道路の建設や整備などの技術を金沢工業大学で研究しています。

イベント直前、ドキドキしながら開始を待つJICA留学生

オンラインでの発表

2022年2月5日土曜日の昼下がり、JICA北陸に集まった3人。日本のみなさんとの初めての交流、しかもオンライン開催とあって、みんな少し緊張の面持ちです。でも、さすが年末からプレゼン資料を作り、本番同様にリハーサルをして、動画や地図を入れ、何度も直して本番に備えてきただけあって、とても分かりやすく楽しいプレゼンテーションでした!
ワンジさんの母国ザンビアでは70以上もの部族がいてそれぞれの文化があること、最低気温6度、最高気温は48度(!)と寒暖差が激しいこと、石川県は寒いと笑いながら話してくれました。
中央アジアキルギス出身のアクマラルさんは、フェルトで出来た家「ユルト」や、日本の相撲に似た競技「クロシュ」など、神秘的なシルクロード文化を紹介。
「おもてなしの国」パキスタンから来たアファクさんは、世界で最も高い標高3,800メートルで開催されるポロの大会「シャンドゥル・ポロ・フェスティバル」や、パキスタンの音楽・ダンスを動画で見せてくれました。
特に関心が集まったのは、アファクさんが話してくれたイスラム教の文化。コーランの詩や、礼拝時刻を知らせるアザーンの動画は、まるで心地よい歌を聞いているかのよう。五行(ごぎょう)と呼ばれるイスラム教で定められた掟(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)についても分かりやすく説明してくれました。そしてイスラム教の「ハラル」とは、食べることができるもののことで、特に豚肉やアルコール、ハラルのしきたりに則って処理されていない肉は食べてはいけないのです。今はスマホアプリ「ハラルジャパン」が開発されて、商品のバーコードにかざすとハラルかどうか簡単に判定できるとのこと。少しずつ、外国の人たちが日本で暮らしやすい環境になっていきますね(興味のある方は、このページの下にある【関連ファイル】から当日のプレゼン資料をご覧ください!)。

そして3人から、日本に来て驚いたこと、困ったことを話してもらいました。「北陸ならではの道路の融雪装置に驚いた」とは、やはり雪国から来たアクマラルさん。金沢では雪が降ると水を流して雪を融かすのですが、キルギスは北海道とほぼ同じ緯度にあり大変寒いので、水を使った融雪装置はないのだとか。そして、「言葉の壁や食べ物の苦労、寒さが大変」と語るのは、ワンジさんとアファクさん。自分の国とは違う環境だと分かっていても、食べなれたものを食べられないことや、食べてはいけないものを判別しにくいのは大変ですよね。改めて見渡してみると、日本語がわからない外国人では分からない表示が身の回りにたくさんあります。来日してまだ半年も経たない3人が、日本の環境に慣れようと努力しながら、大学院での研究も一生懸命がんばっている様子が伝わってきました。

ハラルのクッキーを手におしゃべりタイム。そして、JICA留学生が日本の新聞にデビュー!

ハラルクッキーを手に、ハイ・チーズ!

プレゼンの後は、希望者に送ったハラルのクッキーを片手に記念撮影。実はこのクッキーは、富山県射水市にあるローソン新湊津幡江店で購入したのです。こちらのローソンには、近くにあるイスラム教のモスク(礼拝所)に来る人たちがよく買い物に来るそうで、安心してハラルの食べ物を食べたいという人たちの声に応えて昨年からハラルフードコーナーを作ったそうです。外観はいたって普通のローソンですが、店内には「ハラル」のポップがついたコーナーが。店長さんの温かい思いが感じられますね。

ローソン新湊津幡江店のハラルコーナー

そして、ブレイクアウトルームにわかれて、JICA留学生たち1人1人とおしゃべりタイム。「留学期間が終わったら何をする予定ですか?」「どうして橋や道路の建設を専門に選んだんですか?」などの質問が各部屋で飛び交い、和気あいあいとした時間となりました。
終わった後のJICA留学生たちのやりきった表情と笑顔が、とても輝いていました!!
参加者の皆様からのアンケートでも、「また是非こういうイベントを企画してほしい」という声を多数いただきました。

この日の様子が、石川県内の北國新聞(2月6日付け)と、北陸中日新聞(2月7日付け)で紹介されました。JICA留学生たちにとって初めて日本の新聞にデビューする機会となり、まさに初めて尽くしの盛りだくさんな1日となりました(北陸中日新聞のウェブ版は、このページの下の【関連リンク】でご紹介しています)。

このイベントの運営では、金沢工業大学の学内広報やイベント告知チラシ、Zoom操作や当日の質疑応答コーナーで、金沢工業大学基礎英語教育センターの藤井清美教授を始め、同センター所属の英語教員の先生方にも大変お世話になりました。また、JICA留学生が通う日本語教室を運営する野々市市役所市民協働課の阿部憲和様には、野々市市内での広報を担っていただきました。誠にありがとうございました。

JICA北陸ではこれからも、日本のみなさんが世界とつながってワクワクドキドキするような国際交流イベントを企画していきたいと思っています。どうぞ今後もお楽しみに!!

北陸中日新聞記事翻訳(Translation of Hokuriku Chunichi Newspaper):
JICA Scholars International Exchange Event
Food, Religion... Know the Different Culture
On-line Introduction by 3 Scholars at KIT

For the better understanding of the difference between overseas countries and Japan, on-line JICA Scholars international exchange event was held on February 5. JICA Scholars at Kanazawa Institute of Technology (KIT) introduced their culture or lifestyle, and enjoyed conversation with about 40 people in/outside of Japan over screen during the tea party after the presentation.

International students are Mr.Zulu Wanzi (37) from Zambia, Africa, Ms.Sherimbekova Akmaral (30) from Kyrgyzstan, Central Asia and Mr. Khalid Muhammad Afaq (35) from Pakistan, South Asia. At KIT, they are learning the building and maintenance of infrastructure such as bridges and roads. Came to Japan last autumn, living in Nonoichi City, Ishikawa Prefecture.
Mr.Wanzi chose Japan as destination of research activity because "Japan puts an importance on capacity building of human resources". Introduced Zambian culture on the screen in English, explained that it was christian nation with over 70 tribes there, and also attractiveness of his mother country showing the video of traditional rituals and scenery.
Mr. Muhammad Afaq is a muslim. Explained the limited choice of halal food in Japan which is processed according to the islamic law. For the better understanding of halal food, they enjoyed conversation eating halal cookies which were purchased at the convenience store in Imizu Town, Toyama Prefecture, during their online tea party.
Translator during the event, or Deputy Director of JICA Hokuriku, Ms. Naoko Yago (45) spoke, "I would be glad if I could offer any chance to understand the cultural difference, though it's difficult to have face-to-face communication under pandemic".
Originally, it was planned as a face-to-face event, but changed to on-line style considering the pandemic situation.