PIDAを通じた世界クラスのアフリカ・インフラ開発に向けて:第二回ダカール・ファイナンシング・サミットの開催に協力

掲載日:2023.02.03

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2023年2月2日~3日、アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)に対する資金動員を目的に、セネガル共和国マッキー・サル大統領(アフリカ連合議長)によって、第二回ダカール・ファイナンシング・サミット(Dakar Financing Summit。以下DFS)が開催されました。

従来、アフリカのインフラ開発は、域内の石油や石炭、鉱物など資源を原料のまま域外に輸出し、域外で加工された製品が再びアフリカ域内に流通する経路にそって開発が進められてきました。このようなインフラ開発から脱却し、アフリカによるアフリカのためのインフラを中長期的に開発するための計画として、2012年、アフリカ連合(AU)はPIDAを策定しました。

PIDAでは、アフリカ域内の資源をアフリカ域内で生産・加工・流通させるための強靭なサプライチェーンの構築を目指し、1)交通、2)情報通信技術(ICT)、3)エネルギー、4)水の分野で優先行動計画(Priority Action Plan:PAP)として優先的な広域インフラプロジェクトが選定されています(第一フェーズ:2012年~2020年、第二フェーズ:2021年~2030年、第三フェーズ:2031年~2040年)。これらのインフラプロジェクトの実施は、アフリカ域内外からの資金動員なくして達成することは困難であり、アフリカ開発銀行(AfDB)の試算によれば、現状年間680億ドル~1080億ドルのインフラ資金の不足が生じています。

第二回DFSは、アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)が事務局を担い、アフリカ各国から首脳・閣僚級をはじめ(大統領・首相級5名、大臣級10名)、アフリカ関係機関や、開発銀行、パートナー国、投資家など1200名が集まり、PIDA優先行動計画に対する具体的な行動について議論を行いました。JICAは第二回DFS協力機関として、AUDA-NEPADに派遣中のJICA専門家を通じて本サミットの成功に寄与しました。

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開会式:セネガル大統領(中央)、ルワンダ大統領(中央左)、AUC委員長(中央右)、エジプト首相(左)、アルジェリア首相(右)、AUDA-NEPAD長官(中央二列目)

過去10年のPIDA開発計画を振り返り、今後の推進策を議論:本会合にて堀内俊彦AU日本政府代表部大使が日本のPIDAへの貢献を発信

2月3日、第二回DFS本会合の一セッションとして、“A Decade of Regional Infrastructure Development in Africa:First 10-year Progress of PIDA”が開催されました。

このセッションでは、PIDAが採択されて以降10年の成果や課題を振り返りつつ、今後更なるPIDAの実施促進に向けてどのような行動が必要かについて、AUDA-NEPAD、AU委員会(AUC)、アフリカ開発銀行(AfDB)、国連アフリカ経済委員会(UNECA)、地域経済共同体(RECs)、日本政府が議論を交わしました。

日本からは堀内俊彦AU日本政府代表部大使が登壇し、1)TICADを通じた日本とアフリカのパートナーシップ、2)日本のPIDAへの貢献、3)健全な開発金融・法の支配などグローバル・ガバナンスについて訴えました。また、ベケレ・トーマスAUDA-NEPAD長官や、カザウラAUCインフラ・エネルギー局長は、PIDA開発計画の過去10年における一定の成果を評価しつつも、1)PIDA関係機関一体となった調和のある行動計画(及び重複の回避)や、2)大陸開発計画としてのPIDAと各国別優先計画の一貫性の確保、3)PIDA事業初期段階を支援するための基金の活用等が、官民の資金動員を加速化する上で重要と指摘しました。

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第二回DFS本会合でスピーチを行う堀内俊彦AU日本政府代表部大使

堀内大使のスピーチでは、JICAがAUDA-NEPADと連携して取り組んでいる、PIDAプログレス・レポート「10-year PIDA Progress Report」の作成についても言及されました。かねてより、PIDAの成果や課題が充分な数値・情報量で対外公表されていないことが、資金提供側の投資判断に影響を与え、PIDAへの資金動員が進まない原因の1つである点が指摘されてきました。このような背景を踏まえ、JICAは過去10年間のPIDAに関する包括的な成果や課題のレビューを進めています。

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グループフォト:ベケレ・トーマスAUDA-NEPAD長官(中央)、堀内AU日本政府代表部大使(中央右)、カザウラAUCインフラ・エネルギー局長(左)等

第二回ダカール宣言:PIDAに対する資金動員のための行動計画を策定

第二回DFSはダカール宣言の発出によって終幕しました。同宣言では資金動員の更なる加速化に向けて、以下の具体的行動が明記されました。

  • AU加盟国に対し、PIDA事業を国家優先計画に統合するよう要請
  • AU加盟国に対し、投資家のリスク軽減システムの強化を要請
  • 政府系ファンドや年金基金、気候変動ファイナンス、グリーンボンド等、PIDA事業に対する革新的な資金源の活用を要請
  • PIDA初期段階を支援するための基金への資金調達の拡大を要請
  • 国際開発金融機関(MDBs及びDFIs)や保証基金、銀行に対し、金利の引き下げ、債務上限及び財政赤字制限の引き上げを含む、融資条件の緩和を要請
  • AUDA-NEPADに対し、DFSの成果や実施に関するフォローアップのためのメカニズムを確立するよう要請

JICAはアフリカ地域統合に関する機運の高まりを捉え、PIDAやアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実施促進を目指し、引き続きAUDA-NEPADとの連携を強化していきます。

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アフリカ内外から約1200名のインフラ関係者が集結

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第二回DFS協力機関として、JICAのロゴが配布物やバナー等に掲載されました。