コスタリカ50周年記念セレモニー
掲載日:2024.09.11
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8月7日、JICAはコスタリカとの協力開始から50周年を記念するセレモニーを開催しました。セレモニーでは、冒頭、宮崎副理事長から開会の言葉に続き、元海外協力隊や元専門家がそれぞれの経験を踏まえて今後のコスタリカと日本の交友関係に継ぐ思いを発表しました。また、コスタリカのブルネル第一副大統領から祝辞を頂きました。
コスタリカ本国より第一副大統領、外務大臣、科学・イノベーション・技術・通信大臣、在京コスタリカ大使等が来日し、在コスタリカ日本国大使、JICA関係者等、コスタリカ協力関係者が参加しました。
コスタリカ共和国は、中米に位置する生物多様な国です。人口は約500万人で、国土面積は日本の約13.5%(九州と四国を足した大きさ)です。そのうち、25%は、国立公園と指定されているほど自然に溢れた国です。
日本によるコスタリカへの協力は、「持続可能かつ包括的な社会の共創」を基本指針としています。様々なプロジェクトを通して、JICAは格差是正と包括的な社会の実現、地球規模課題のリスク緩和と脱炭素社会実現に向けた機会創出、産業基盤の強靭化などに努めてきました。
具体的なプロジェクトの一例としては、2019年から2024年まで実施された、「SICA地域における生物多様性の統合的管理と保全に関する能力強化プロジェクト」があります。 中米統合機構-SICAは中米・カリブ地域の8か国で構成され、生物多様性が豊かな地域ですが、森林や湿地が減少しており、これを保全するためには情報システムの構築やビジネスモデルの検討・普及、知見の共有と能力強化が必要で、日本はその支援を行いました。また、現在は「保全地域における参加型ガバナンスとエコツーリズムのための共同管理能力の強化プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトを通してコスタリカがこれまでに得た知見を活用し、中南米の保護区管理者に持続可能な観光の能力を提供します。これにより、保護区周辺住民の収入向上と保護区への理解促進を図ることが目的です。
「保全地域における参加型ガバナンスとエコツーリズムのための共同管理能力の強化プロジェクト」で生物多様性保全の経験の体系化手法を学んだプロジェクト連絡員が、自らが講師となり他の職員に対して体系化の重要性や意義、手法について説明を行った。 (写真提供:JICA)
コスタリカでは、このように様々な活動に専門家や海外協力隊として日本人が現地を訪れ、地域の方とともに国際協力を実施してきました。コスタリカで海外協力隊として活動した日本人は約800名おり、JICAの専門家として活動した人は600名以上います。今回のセレモニーでは、そのうち、3名の方がコスタリカでの経験についてのスピーチをしました。
コスタリカ派遣第一号専門家の小塚芳道氏は、医療専門家として50年前に細胞生物学研究センター(Centro Investigacion en Biologia Cellular)で行なった電子顕微鏡ユニットの研究について話しました。現地での生活と人々との交流についても言及されました。
また、元海外協力隊員の山下まりあ氏は、2018年に海外協力隊としてコスタリカに滞在した時の体験談を話されました。現地の国民が大切にしている“Pura Vida”(喜びや幸せを大切にし、楽観的に生きる)精神を日本にも少しでも広めたいという意向と、日・コスタリカとの交流をより促していきたい旨を表明されました。
菊池格夫氏は、コスタリカで過ごした7年間について話されました。1回目の渡航では、コスタリカの農林水産省で2年間海外協力隊として活動をし、2回目の渡航では、JICAの専門家として5年間生物多様性保全における参加型マネジメントの推進プロジェクトに携わりました。コスタリカでの経験によって価値観や人間観が豊かになったことと、コスタリカと日本の今後の友好関係についてスピーチをされました。
最後に、ブルネル第一副大統領は、人材育成、教育、日本語教育、スポーツなど、コスタリカに関連する開発分野に日本が注力していることは、二国間の関係強化に確実に貢献し、日本の知識と能力から学ぶことを可能にしていると述べられました。協力開始から50年経ちましたが、今後もまた50年間協力し続けることを祝して、セレモニーは閉会しました。
第一副大統領、外務大臣と参加者の交流の様子。
レポーター:中米・カリブ課インターン 武田千穂
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