『The Myanmar Economy - Its Past, Present and Prospects』

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The Myanmar Economy - Its Past, Present and Prospects

豊富な天然資源と人的資源に恵まれながら、経済社会開発が停滞してきたミャンマー。2011年の政策転換以後、その潜在的な可能性から「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれ、外国の投資家や企業、国際協力機関などから注目を集めています。本書は、こうしたミャンマーの経済の基本構造について、社会的・歴史的背景を含めて分析し、経済発展についての洞察を提示します。

本書は、2008年から2010年のJICA研究所の研究プロジェクト「ミャンマー経済の現実と課題」の成果をまとめた日本語書籍『ミャンマー経済の新しい光』(2012年9月、勁草書房社)をベースにし、その後の動きや新しい知見を加えて大幅に改定増補した内容となっています。

9章からなり、第1章「A new Light to Shine? Historical Legacies and Prospects for Myanmmer's Economy(ミャンマー経済の新しい光)」と第2章「Remnants of the Colonial Period and Economic Policies of Post-Independence: Through the Study of Hla Myi nt(独立後の経済政策の理念と植民地時代の残滓-フラーミンの「余剰のはけ口論」)」は過去の文献レビュー。第3章から第8章までは5つの分野-マクロ経済と金融、社会資本整備、農業・農村開発、製造業と工業化、中国との経済関係-に関しての実証研究で、第9章はまとめです。

編者の尾高煌之助一橋大学・法政大学名誉教授は、JICAが2000~2003年、日本の有識者とミャンマーの政府高官らによる共同調査・研究として実施した「ミャンマー国経済構造調整政策支援調査」でプロジェクト・リーダーを務めました。また、JICA研究所の研究プロジェクト「ミャンマー経済の現実と課題」にも研究代表者として参加しています。

尾高名誉教授は本書の序文(Preface)で「ミャンマー経済が持続的な成長に向かうかどうかは、過去の構造を変革し、新しい国際的な経済環境に適応できるかにかかっている。ミャンマーは、国内外からの協力を得て、市場の発展のための新しいロードマップ(工程表)を描き、実行する必要がある」と指摘しています。そして、本書で示される分析と5つの分野の実証研究は、ロードマップ作成に重要な示唆を提供するものであると述べています。

田中明彦前JICA理事長は序文(Foreword)で、国内外の人々が協力し合ってミャンマーの発展に取り組むとき、ミャンマーを深く理解することが重要とし、「この本はそのための重要な情報源の一つになり得ると確信する」と述べています。

尾高名誉教授以外の著者は次の通りです。藤田幸一京都大学東南アジア研究所教授、久保公二日本貿易振興機構バンコク・センター研究員、工藤年博政策研究大学院大学教授、松田正彦立命館大学国際関係学部教授、三重野文晴京都大学東南アジア研究所教授、水野明日香亜細亜大学経済学部准教授、水野敦子九州大学大学院経済学研究院助教。

編者
尾高 煌之助
発行年月
2015年11月
出版社
Springer
言語
英語
ページ
239ページ
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #経済政策
研究領域
経済成長と貧困削減
ISBN
978-4-431-55734-0(ハードカバー)
978-4-431-55735-7(eBook)
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