No.3 明治期の工部大学校の経験が開発途上国のエンジニア教育に与える示唆

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工部大学校は、殖産興業を進める明治政府により、各種インフラ事業を担う人材の育成を目的として設立された。1873年(明治6年)の開校以降、明治20年代半ば頃までに近代的な技術を習得した日本人技師が公共事業において主導的な役割を担うに至ったこと、また工部大学校自体も1882年(明治15年)ころから教師の日本人化が図られたことから、工部大学校によるエンジニア教育は一定の成功を収めたと評価される。その要因として、実学重視のカリキュラム、技術教育のみならず、全人格教育を重視し、公益マインドと高い倫理観を有するエンジニアの養成に成功したこと、技術教育の自立化を当初から掲げ、計画的に教師陣の日本人化を図ったことの3点を指摘した。また、工部大学校の経験が途上国に与える示唆として、理論と実地訓練のバランスが取れたカリキュラム、技術教育と全人格教育、官庁の現場での実地訓練をカリキュラムに含めることがエンジニア教育上、有効であることが示唆された。

キーワード: 工部大学校、エンジニア教育、カリキュラム、東ティモール大学工学部

著者
鈴木 智良
発行年月
2022年8月
言語
日本語
ページ
21ページ
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #教育
  • #日本の開発協力
研究領域
開発協力戦略