JICA緒方研究所

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開発協力文献レビュー

No.15 Qualitative Research is not a Unified Paradigm: Implications for the Evaluation of Qualitative Research Studies

社会科学分野における研究は大きく定量的研究と定性的研究に二分できる。しかし、定性的研究は均一ではない。個々の研究が基礎におく哲学や方法論を注意深く見ていくと、様々な種類があることに気づく。全ての定性的研究が一つのパラダイムに基づくと考えることには無理がある。

本稿は、社会科学分野におけるパラダイムに係る先行研究をレビューしつつ、定性的研究には複数のパラダイムが存在するという考えに基づき、定性的研究を評価するにあたっての4つの示唆を提示する。それらは、(1)定性的研究では異なる評価基準を必要とする、(2)研究者は自身の研究が基礎に置くパラダイムを明示しなければならない、(3)されど定性的研究においては、単一の評価基準を用いることが可能、そして(4)定性的研究においては、評価基準を設定すること自体が非現実的だ、である。これらの4つの示唆は相容れないものだ。1番目と2番目の示唆は、異なる評価基準が必要であることを強調する。一方、3番目は単一の基準を提案し、4番目は評価そのものを否定する。この示唆の不適合性は、定性的研究において唯一の評価基準を確立することの難しさと定性的研究の多様性を示している。最後に本稿は、開発協力分野の研究者も、自身の研究がどのパラダイムに基礎を置くものかを常に意識することが重要である点を示唆する。

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