JICA緒方研究所

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開発協力文献レビュー

No.17 Transport and Equity: Toward Inclusive Transport Development

SDGs2030のターゲット11.2は、「2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、および高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。」であり、開発途上国の文脈では低所得者層も脆弱層に含まれる。開発途上国の都市においては、中心市街地から離れた周縁部に貧困層の居住が集中する傾向があり、公共交通投資の目的の一つは、脆弱層のアクセシビリティを向上させることで、空間的・社会的な不平等を緩和することにある。

本開発協力文献レビューは、開発途上国の都市を対象とした交通と平等性に関する先行研究(定量的な実証研究)をレビューしている。先行研究では、ポテンシャル・アクセシビリティ等の指標を用いて、中南米地域の都市を中心に開発途上国の都市の交通と平等性に関し分析を行い、概して低所得者層等の脆弱層が不利な状況に置かれているとの結果が出ている。この背景として、都市ごとのコンテクストによるものの、想定される理由として、新規に整備される公共交通の運賃体系によっては低所得者層の交通費用がかえって増加する場合もあること等の可能性が考えられる。今後、より包摂的な交通プロジェクトを計画・実行していくためには、平等性をより加味した交通プロジェクトの計画や評価の枠組みの検討が必要であり、いくつかの先行研究では、交通平等性を踏まえた交通プロジェクトの評価指標や評価手法の提案を行っているが、実務での活用を見据えた更なる研究の蓄積を進め、包摂的な交通プロジェクトがさらに推進されることが期待される。

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