The Impact of Better Access to Improved Water Sources on Health, Schooling, and Water Collection of Girls and Boys in Rural Zambia

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安全な水へのアクセスがないことは、サブサハラ・アフリカ地域の国々で暮らす就学期の子どもたちに大きな影響を与えています。そのアクセスが改善されれば、子どもたちは水汲みの重圧から解放され、学校に通える可能性が高まると期待されます。しかし、深井戸の設置が彼らの水汲みと就学に与える短期的な影響を調べるには、さらなる研究が必要です。

本論文では、新たな深井戸の建設によって安全な水へのアクセスが改善されると、ザンビアの子どもたちの健康、就学、さまざまな活動への時間配分に対して、短期的にはどう影響を与えるのか調査しています。疑似実験の状況下で得られたデータを用いて、差分の差分分析 を行った結果、安全な水へのアクセス改善によって未就学児童の下痢の発生数は低減したものの就学児童では変化が見られなかったこと、また、就学への有意な効果も見られなかったことが分かりました。

なぜこのような結果が導き出されたのかを理解するため、生活時間の調査を行ったところ、深井戸の近くに住む女児は、水へのアクセス改善によって就学や宿題に割く時間が大幅に減少し、むしろ水を使った家事の時間が増加していることが分かりました。一方で、男児には有意な変化は見られませんでした。さらに、成人女性が水を使った家事に費やす時間は有意に減少していました。これらの調査結果は、女児の水汲みの負担は変わらないものの、水を使った家事の負担は成人女性から女児へシフトしていることを示しています。

本研究は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「アフリカにおけるデータ活用実証研究」の一環です。本論文は、2022年2月にジャーナル「Journal of Development Studies」に掲載され、以下のリンクからご覧になれます。

著者
島村 靖治、 清水谷 諭、 田口 晋平、 山田 浩之
発行年月
2022年3月
言語
英語
ページ
23ページ
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #保健医療
  • #水資源
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト