日本における戦後産業復興、発展の中での産業政策の役割:産業政策を有効なものとするための条件

  • #その他論文等

研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析」の中間成果書籍“Policy Learning for Industrial Development and the Role of Development Cooperation”の第4章‘The Role and Characteristics of Industrial Policy in Postwar Industrial Recovery and Development in Japan: Implications for Developing Countries’の内容を、書籍には掲載できなかった具体的な事例なども交えて、より詳細に記述した論文です。

和田正武帝京大学名誉教授は、1966年から約30年間、通商産業省(現経済産業省。以下、「通産省」)に所属し、当時の産業政策立案・実施の実務に携わられていました。そのご経験も踏まえ、日本の戦後の産業発展の軌跡を、通産省がどのように産業政策を立案し、実施していたのかという視点で振り返り、産業政策の役割やその成功要因、それを支えた通産省の組織や人材の特性について論じています。

本論文の前半では、戦後の経済復興から、高度経済成長を経て産業構造の高度化に至る期間の産業政策の動向を概観します。続いて、産業政策の実施手段や政策立案・実施過程における通産省と民間部門との関係などについて論じます。

最後に、こうした日本の産業政策の特徴を整理した上で、効果的な産業政策を立案・実施するためには、政府が産業の実態を把握し、産業界からの信頼を得ることが重要であるなど、現在の開発途上国に対するインプリケーションを述べています。また、参考情報として、戦後に取られた日本の業種別産業政策について、機械工業、金型産業、石油化学工業、カメラ産業などの具体例を挙げて紹介しています。

著者
和田 正武
発行年月
2022年11月
言語
日本語
ページ
64ページ
研究プロジェクト