No.2 Development of Environmental Public Interest Litigation in China: How Can Public Participation Play Its Role Beyond Environmental Authoritarianism?

  • #リサーチ・ペーパー

中国は世界における共産党支配による長期にわたる権威主義国家として知られている。それにもかかわらず、環境ガバナンスにおいて非参加型—参加型アプローチの複合形態が観察される。中国の環境ガバナンスにおけるこのような複合形態の特徴をどのように理解すればよいのだろうか。本研究ではこの問いに答えるべく、2015年より施行された改正環境保護法以降の環境公益訴訟事例に着目し、先行研究で挙げられた中国的「環境権威主義」のもとでの「非環境的浸透(権威主義的スピルオーバー)」仮説を検証する。NGOと検察官による最近の環境公益訴訟の展開を注意深く観察すると、検察官による訴訟件数がNGOのそれよりも不釣り合いに増加している一方で、改正環境保護法で定められたNGOと検察官の間のある種の分業が権威主義的スピルオーバーを抑制しうることが明らかになった。また環境公益訴訟においてNGOと検察官が協力している事例がいくつか見られること、さらに現地のNGOがこの過程で沢山のボランティアを動員していることが指摘できる。こうして中国における幅広い地域の主体の間で蓄積された経験や知識は、むしろ「環境(民主)的浸透」をもたらし、環境公益訴訟をより参加的なスタイルへ改革を促す効果を持つかもしれない。

キーワード:環境ガバナンス、権威主義、環境公益訴訟、浸透効果(スピルオーバー・エフェクト)、中国

著者
大塚 健司
発行年月
2023年3月
言語
英語
ページ
24ページ
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #環境管理
研究領域
地球環境
研究プロジェクト