JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.53 China and the Two Crises: From 1997 to 2009

中国は、アジア金融危機(1997-98 年)とグローバル金融危機(2008-09 年)の最悪の衝撃を上手く乗り切ったように見える。中国の指導者は対外的な危機に対して、迅速にそして時には大規模に対応した。しかし、振り返ってみれば、それぞれの危機に対する対応は行き過ぎの面があり、その後に国内での見直しと後退が行われた。本稿は、当面のマクロ経済危機への対応、制度の適応、貿易・為替政策の 3 つの側面から2 つの危機の共通性と相違について検討する。議論の中では、アジア金融危機への対応の「成功」が、グローバル金融危機に連なるより深い経済問題を生み出す元になったことを明らかにする。そして、グローバル金融危機への対応を通して、政府の官僚と国営企業がより多くのリソースを支配するようになり、また彼らと金融機関の説明責任も減少することになったと論じる。こうした変化が必然的に予算制約を緩め、個々のリスクを下げ、投資を一層促すことになったのである。結果として、現在の中国経済は、国内制度の適応の拙さに由来する問題が蓄積しているが、その不適応は危機への対応と少なからず関係があると言えるだろう。

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