No.2 How Do "Emerging" Donors Differ from "Traditional" Donors? —An Institutional Analysis of Foreign Aid in Cambodia—

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昨今、いわゆる「新興ドナー」に関する議論が活発化している。しかし、既存研究の多くは伝統ドナーとの相違点を強調するあまり、新興ドナーを一枚岩的に捉える傾向があった。こうした研究の偏りは、伝統ドナーと新興ドナーが共有する類似点、そして、一括りにされがちな新興ドナー間の多様性を看過させる。確かに、新興ドナーに関して公開されている情報の不足は、さまざまな憶測を呼び、客観的な記述や分析を困難にしてきた。そこでわれわれは、カンボジアという援助の受け手に焦点を絞り、中国、インド、韓国、タイが、それぞれどのような援助活動を展開しているのかを現地調査に基づいて解明し、既存研究の偏りを修正するよう試みた。本研究が提起する重要な論点の1つは、既存研究の多くが援助ドナーの増加による援助の断片化を問題視している中で、受け入れ国政府側からみれば新興ドナーの台頭という「断片化」の要因がむしろ交渉の材料となり、彼らにとって開発事業の選択肢を広げる効果をもっている可能性である。

著者
佐藤 仁志賀 裕朗、 小林 誉明、 近藤 久洋
発行年月
2010年3月
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #経済政策
  • #新興国
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト