JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.101 Human Security in Singapore: Where Entitlement Feeds Insecurity

本稿では、シンガポールにおける人間の安全保障の矛盾した発展状況を検証する。シンガポールは全国的に高いレベルの人間の安全保障を達成したにも拘らず、その極度にトップダウンに偏ったアプローチにより、社会がコミュニティレベルで自立的にリスクに対処しうるだけの十分なエンパワメントは行われてこなかった。本研究がカバーするのは次の内容である。第一に、シンガポールにおける高いレベルの人間の安全保障達成のための努力について、その背景を簡単に述べる。第二に、ダウンサイドリスク、すなわち人間の安全保障に関する予期しない政策的帰結は、国家による保護の提供およびそれに対するアクセスが不公平であること、また、エンパワメント(すなわち人々がリスクに対処することを可能にする活動)が不足していることの結果であることを論じる。第三に、近年、とりわけ分水嶺となった2011年の総選挙後、シンガポール政府が行っているダウンサイドリスク低減のための取り組みの概略を示す。第四に、国境を越える人間の安全保障上のリスクの低減のため、シンガポールが行っている政策について議論する。シンガポールは国土が狭く他国に近接している都市国家として自身の脆弱性を認識しており、ゆえに国境を越えるリスクでシンガポールへの波及効果が予想される場合、それを低減するための対応を取る必要がある。

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