JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.15 The Global Financial Crisis and Recession —Impact on and Development Prospects for Africa—

本稿は、世界金融危機がアフリカの経済に与えている影響を分析し、アフリカの発展における将来のリスクを指摘する。まず明らかにされるのは、2000年代のアフリカの成長を牽引してきた重要な要素が、深刻な度合いで破壊されてしまったということである。世界的な金融崩壊の後遺症は、アフリカ産品の輸出の減少や、輸出価格の変動、資本流入の低下、将来の成長に必要なインフラへの投資の減少などを通じて、アフリカ経済に負の影響を与えた。また、政府歳入の落ち込みが、急速な失業率の上昇とも相まって、社会のセーフティーネットをより脆弱なものにし、多くの国で人々の生活水準を悪化させた。世界的な景気後退は、アフリカの近年のサクセスストーリーが、依然として非常にもろく危ういものであるということを、人々に再認識させたのである。本稿では、貿易相手国の経常収支の回復が、—恐らくは無意識的に—アフリカの経済成長に負の影響を与えている可能性を指摘する。重要なことは、今回のこうした経常収支の調整がおよぼすアフリカへの負荷をしっかりと認識した政策がとられることである。短期的には、財政スペースの確保、インフラのリハビリ、雇用保全のようなセーフティーネットの整備に重点がおかれるべきであるが、より長期的には、危機以前のような一次産品の輸出が牽引する経済への回帰を単純に目指すのではなく、その牽引役をより深いヴァリューチェーンに参加し、かつアフリカ域内での貿易に重きをおいたものに変えていく必要がある。金融危機後のアフリカの発展に必要なのは、外部ショックに対して強靭な経済構造を作り上げることなのである。

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