JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.117 Intrageneration Poverty Dynamics in Indonesia: Households' Welfare Mobility Before, During, and After the Asian Financial Crisis

インドネシアでは、1998年の経済危機発生と政治的混乱が一因となった経済成長の13.7%の下落による鈍化によって、貧困率も17.7%から24.2%に悪化した。一方で、インドネシアの経済が早期に回復すると、貧困率もまた下がり始めた。このことは、貧困が静的な現象ではなく、時とともに変化するダイナミックな性格を有していることを表している。経済の変動に応じて、家計は貧困から脱出し、また逆に貧困に転落しうる。
本研究は、アジア経済危機の前、間、後において家計の厚生の変化に影響を及ぼす要因について分析を行うことを目的としている。本研究では、スペルアプローチを採用し、またIFLS(Indonesian Family Life Survey)に基づいて、危機前の1993年から1997年の間の家計を、慢性的貧困(6.14%)、一時的貧困(貧困への転落)(6.31%)、一時的貧困(貧困からの脱出)(10.58%)、非貧困(76.96%)の4つのグループに分類しうることを確認した。しかしながら、危機の期間である1997年から2000年にかけて一時的貧困(貧困への転落)の確率が、危機前の5%から危機の間では14%に上昇した。危機後の期間においては、貧困家計のおよそ86%が貧困から脱出した。
本研究は、次の期間も貧困である確率は過去貧困であった経験に大きく依存すること、また慢性的貧困の確率が4.6%から2.2%に半減するのにおよそ15年を要することも明らかにした。さらに、順序ロジットモデルを用いた推計では、貧困動態の決定要因は、就学率、家計サイズ、教育支出の割合、公共交通機関への距離、家畜と流動資産の所有権、地震による被害の大きさなどであった。

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