JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.124 Youth Employment and NGOs: Evidence from Bangladesh

若年失業は、多くの途上国において労働市場ならびに社会における重要な課題となっている。中でも、高学歴の若年層における高い失業率が懸念されており、バングラデシュも例外ではない。バングラデシュでは、NGOが活躍の場を広げ、貧困削減、保健・教育などの社会指標の改善のみならず、若年層のキャリア形成においても重要な役割を果たしている。NGOセクターは、若者に多くの就職口を提供している一方で、従業員の離職率が高く、意欲と能力のある人材確保が困難な状況にある。本研究では、バングラデシュの大学生と若手NGO職員を対象に、職業選好と仕事の満足度の決定要因についてインタビュー調査を実施した。実証分析の結果、賃金、性別、労働形態、ロケーション、NGOの規模が、仕事の満足度と統計的に有意な相関関係があることが分かった。さらに、離散選択実験(Discrete Choice Experiment)を用いて、若年層の職業選択に影響を与える要因を測定し、NGOセクターの雇用機会をより魅力的にし得る福利厚生について検証した。調査の結果、教育・資格取得への補助が従業員の定着率を30ポイント以上高め、医療保険補助が定着率を20ポイント以上高める効果があることが明らかとなった。また、多くの小規模NGOが提供している住宅補助は、NGO従業員の定着率を高めるために効果的な付加給付(fringe benefit)であるという証拠は得られなかった。残業が要求されない仕事は、女性従業員の定着率を10ポイント増加させ、男性従業員での増加分(4ポイント)より高い。本研究の結果を踏まえれば、厳しい予算制約に直面しているNGOでも、従業員の福利厚生費を効率的に配分することで離職率を下げることが可能である。従業員の雇用条件に対するニーズと要求をNGOがより深く理解し、福利厚生の効果を検証することで、意欲と能力のある人材の確保につながる。

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