JICA研究所

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ワーキングペーパー

No.148 Implications for Teacher Training and Support for Inclusive Education in Cambodia: An Empirical Case Study in a Developing Country

インクルーシブ教育に対する教師の積極的な態度の形成に、教員研修と教師の経験が大きく影響するという実証研究は、先進国においては数多く存在する。本研究は、途上国におけるインクルーシブ教育の実施に対して政策的示唆を得るため、そのような傾向が途上国でも確認できるのかを実証しようとしたものである。本研究では、カンボジアを途上国の事例とし、2015年2月に448名の教師に対して質問紙調査を行い、また24名の教師に対して、面談聞き取り調査を行った。その結果、質問紙調査の統計分析からは、教師の障害児教育に関する研修経験や障害児を実際に教えた経験が、カンボジアでは、障害児をどのような状況で教育することが良いのかに関する教師の考え方や態度にほとんど影響を与えていないことが示された。聞き取り調査からは、教員研修の質の低さや、学校現場で障害児を教える教師への支援の不足が、教員研修や教員の経験の有無がインクルーシブ教育に対する教師の考え方や態度に影響を与えない原因になっていることが示唆された。また、カンボジアでは、盲聾の児童を通常学級で教育することに対して、先進国での実証研究に比しても、教師が否定的であることが示された。このように、本研究からは、発展途上国においてインクルーシブ教育を推進するためには、単に教員研修を拡大し、通常学級に障害児を受け入れるだけではなく、教員研修の質を高め、現場の教師への支援体制を拡充することが必要となることが示唆された。

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