JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.151 Breaking the Poverty Trap: A Psychological Framework for Facilitating Autonomous Motivation and Sustainable Behavioral Change in Development Aid Beneficiaries

開発援助プログラムにおいて裨益者の心理について理解することの重要性は,特に能力開発に関わる者の多くから指摘されてきているが,開発援助の分野をフィールドとした心理学の専門的な研究はほとんど行われていない。その理由としては,開発援助の分野において妥当性が検証された理論がないことが考えられる。

本稿の目的は,絶対的貧困等の困難を抱える者の援助,アセスメント,そして研究に有用な理論枠組みを提示することである。この理論枠組みは心理学の自己決定理論に依拠するが,行動変容に関する理論も参照する。従来の自己決定理論では,想定されている基本的欲求のうち自律性欲求さえ支えれば行動変容を促進できるとされるが,開発援助の対象となる貧困層に対しては,コンピテンス欲求と関係性欲求を十分に支えることが自律性支援の機能する前提条件だというのが本稿で主張する理論改訂の要点である。

この改訂された自己決定理論の解釈に基づき,条件付き現金給付(CCTs),生活改善(LIA),小規模園芸農民組織強化計画(SHEP),そしてFramework for Enhancing Empowerment(FrEE)の各アプローチを検証し,将来的な研究と実践の方向性を提示する。

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