JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.164 Measuring the Competencies of International Volunteers: Key Competencies of the Japan Overseas Cooperation Volunteers and their Perceived Achievements and Outcomes

先行研究では、国際ボランティアに従事することで、さまざまな能力—個人的、社会的、文化的—が醸成されると示している。その一方で、「どういった能力がボランティア活動の達成や配属先における成果の発揮に繋がるか」という見地での研究はいまだに希少である。本研究では、派遣前、派遣中、帰国時にJICA研究所が実施した青年海外協力隊への意識調査データをもとに、何が協力隊活動の成功のカギとなるコンピテンシーであるかを分析。同時に、それらが時系列に従って、どのように変化するかを分析した。また、従来の能力測定における自己評価とは異なるアプローチをとり、感情指標によるコンピテンシーの測定を提唱した。今回、合計1330人の回答者からなるパネルデータを基に、コンピテンシー測定項目における因子分析と因子的不変性分析等の尺度検定を行った。その結果、3時点において近似の因子構造からなる「挑戦的自発性」、「異文化交渉力」、「抗ストレスプロジェクトマネージメント力」の3つの潜在因子が抽出された。

全体的に見ると、これらのコンピテンシーは派遣中に一度下がり、帰国時までに(再び)上昇する傾向にあった。これらのコンピテンシーはいずれもボランティア活動の達成度に影響しており、それが各コンピテンシーによって派遣期間中どの時期であるかによって影響の仕方が違うことが明らかになった。派遣前から「挑戦的自発性」が高く、活動前半に「抗ストレスプロジェクトマネージメント力」が高く、活動後半に「挑戦的自発性」が高かった隊員は、配属先に新規サービス・活動をもたらす場合が多い。また、派遣前から「挑戦的自発性」が高い隊員はその後のコンピテンシーの変化に関係なく、より現地のスタッフの働き方に影響を及ぼしていることが明らかになった。

これらの結果の解釈には、隊員の自己報告に基づく分析である点、「抗ストレスプロジェクトマネージメント力」指標の信頼性が低い点、また分析枠組みの限界などの留意点を踏まえる必要性を考慮に入れている。隊員がこれらの3つのコンピテンシーを発揮し、よりボランティア活動の成果を上げるためには、どのような実務的な取り組みが考えられるのか。本研究結果を踏まえ、議論した。


キーワード:青年海外協力隊(JOCV)、コンピテンシー、国際ボランティア、ボランティア成果、非認知能力尺度

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