JICA緒方研究所

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ワーキング・ペーパー

No.175 Sexual Exploitation of Trafficked Children: Evidence from Bangladesh

人身売買は世界的な人道問題であるが、これに関する学術的知見は非常に少ない。本稿は、バングラデシュ全国の児童セックスワーカーを対象とするサーベイデータを用いて、人身売買によって強制的にセックスワークに従事させられている子どもたちが、その他の児童セックスワーカーと比較してどの程度劣悪な労働環境に置かれているのかを明らかにする。人身売買被害者の内生性をコントロールするため、本稿では操作変数として出身県の自然災害発生頻度を用いた。

分析結果によると、人身売買被害者は暴力被害や薬物使用の確率が高く、自分の意志でセックスワークを辞める自由がなかった。また、彼女らはより多くの相手と取引をするが、相手一人あたりの賃金は有意に低かった。一方で、避妊具使用や性感染症リスクについては両者の間で有意な差は見られなかった。これらの分析結果は、被害者が努力水準を高めるために暴力をふるわれている一方、将来的な生産性維持も考慮されている可能性があることを示唆している。


キーワード:人身売買、セックスワーカー、最悪の形態の児童労働、強制労働、バングラデシュ

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