JICA緒方研究所

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No.184 Japan’s Foreign Aid and ‘Quality’ Infrastructure Projects: The Case of the Bullet Train in India

本論文は、一国向けとしては最大規模の円借款案件であるインド高速鉄道案件を支援する日本の動機について分析するものである。本論文では、「質の高いインフラ」に重点を置く、ODAに関する日本政府の新しい思考の戦略的基盤を検討し、インド高速鉄道事業はその性格、規模および立地から見て、今日の日本の戦略的援助の際立った実例であると主張する。「総合安全保障」との関連では、インド高速鉄道事業は日本の経済的利益のみならず安全保障上の利益をも考慮したものとなっている。将来の巨大市場としてのインドの経済的潜在性は日本にとって大きな魅力であるが、日本のインドへの関心を高めさせたのは、何よりも、地域的およびグローバルなパワーシフトの文脈におけるインドの戦略的重要性である。インド高速鉄道事業の多様な戦略的側面は、日本の主要な経済的及び戦略的な競合相手である中国の動向の強い影響を受けている。こうした状況は、南アジア地域のインフラ開発を主導することの戦略的重要性を高めている。このため、日本の「質の高いインフラ」支援としてのインド高速鉄道事業は、今日の日印関係のみならず、日本政府の戦略的な援助思想に関する新しい洞察を提供するものとなっている。

キーワード:日本、ODA、日印関係、質の高いインフラ、高速鉄道、援助を巡る政治(Aid Politics)、戦略的援助

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