JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.225 From Project to Outcome: the Case of the National Greenhouse Gas Inventory in Indonesia

本研究は技術協力が途上国における内生的かつ長期的なキャパシティ・ディベロップメントに及ぼす効果の道筋と条件を明らかにするために、インドネシアにおける国家温室効果ガス(GHG)インベントリの事例を分析した。同国では、かつてGHGインベントリの算定業務を外部専門家に委託していたが、現在では環境林業省(KLHK)の内部人材により、その業務を完結している。同国の長期的なキャパシティ・ディベロップメントの過程を辿り、これに対し(独)国際協力機構(JICA)による5年間の技術協力がどのように触媒効果を生んだのかを考察した。

分析枠組みとして戦略的課題診断モデル(model of strategic issue diagnosis)を活用することにより、KLHKにおいて、国家GHGインベントリ作成という課題がどのように解釈されてきたか、また解釈の変化に応じてどのような行動がとられてきたのかについて、時系列の追跡を行った。これに基づき、技術協力が制度・社会面の変化との相乗作用を通じ、課題の緊急性・実施可能性・相互関係性に関するKLHKにおける解釈のあり方に変革を起こし、それをきっかけとして現状克服に向けた内発的な力を生んだ過程が明らかになった。技術協力を通じてそれまでのGHGインベントリ報告に大きな不確実性があることが明らかになったことで、KLHK自身がインベントリ作成を単なる作業で終わるものではなく、解決すべき重要な問題として認識することができるようになった経緯を示すことができた。

本研究は、インドネシア政府が直面した固有の状況を理解することが、技術協力の触媒効果、あるいはその欠如を評価する上で重要であることを示した。固有の状況は、長期にわたる時間軸、及び直接的な受益者を超えた広範な空間軸の中で理解し得るものであり、そうした理解をベースに技術協力の評価を行うことが重要である。


キーワード: キャパシティ・ディベロップメント、気候変動、課題解釈、カーボン・エミッション、インドネシア

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