JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.51 Financial Restructuring after the 1997 Crisis and Impact of the Lehman Shock: Path Dependence of Financial Systems in Korea and Thailand

1997年のアジア金融危機の後、韓国とタイは金融再建を成功裡に進め、銀行セクターの健全性を回復した。しかし、2008年にリーマンショックが両国の金融市場を襲ったとき、その衝撃は異なる様相を見せた。韓国では、金融再建の成果がタイよりも優れていたにもかかわらず、2008年には第二の金融危機の瀬戸際まで追い込まれた。他方、タイは衝撃をたやすく切り抜けた。この逆説的な違いを解明するために、本論文は制度の経路依存性の視点に立ち、二ヶ国の金融システムの形成と変化に関する歴史的経路の違いに焦点を当てる。結論としては、韓国では国家主導の金融再建が成功したことで、銀行の活発な貸出行動が促進されたのに対し、タイにおける民間セクター主導の改革は銀行の保守的な貸出行動を強化しただけであったと論じている。そして、制度の変化には決定的分岐点があるとする従来の理論とは異なって、深刻な経済危機が両国ではかえって制度の遺産を強化することになったと分析する。その結果、韓国の銀行は攻撃的とも言える対外借入をするようになった一方、タイの銀行は対外借入には非常に慎重になった。これらの違いによって、両国のリーマンショックに対する異なる脆弱性は説明できるのである。

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