No.52 Institutional Development of Cross-Border Higher Education: The Case of an Evolving Malaysia-Japan Project

  • #ワーキングペーパー

本論文では、国境を越えて提供される高等教育の制度・ガバナンスについて、新しい形態のプログラムを導入する効果に焦点を当てて検証している。マレーシア・日本間の高等教育円借款事業をケースとし、ツイニングプログラムを通して、学生の移動からプログラムの移動へとその形態を変化させてきた点を分析している。同事業においては、日本の大学から派遣された大学職員が、重要な役割を果たし意思決定も行ってきた。他方、マレーシアの教育機関も何人かの教職員をマレーシア人と置き換え、ツイニングプログラムの前半部分である現地学習プログラムをディプロマ課程としての認証を得て、そこで積んだ経験をもとに新たな工学ディプロマ課程を発展させた。日本の大学は、既存のカリキュラム、単位互換、学生の移籍を適応させることによって、また新たに職員のトレーニングや質保証制度を発展させることによって、この事業の発展に貢献してきた。のちに正式なものとなるコンソーシアムを作り上げることにより、学生の配置と彼らへの支援において大学間で共通の手続き方法を取り、移籍にかかる費用を減らした。また、何校かは新しく国境を越えたプログラムを展開してきた。国境を越えて提供されるプログラム移動型のモデルは、参加した高等教育機関の管理制度や受け入れ能力を、ある程度強化している。しかし、プログラムの持続性は、各機関の参加の姿勢及び政府からの継続的な財政支援に因るところが大きい。

著者
吉田 和浩、 結城 貴子、 坂田 のぞみ
発行年月
2013年1月
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #教育
研究領域
開発協力戦略
研究プロジェクト