JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.60 A Fresh Look at Capacity Development from Insiders' Perspectives: A Case Study of an Urban Redevelopment Project in Medellín, Colombia

本稿では、もっぱら援助者(donors)のアジェンダとして議論されがちな CD(キャパシティ・ディベロップメント)を、援助者が直接関与しない事例をとりあげることで、「内部者の視座」によって分析し、そこから援助者が何を学び得るかについて論考する。具体的にはコロンビア国メデジン市の貧困層居住地区を対象になされた MIB と呼ばれる再開発プロジェクトを取り上げる。

当該地域の都市貧困の歴史を俯瞰した後、MIB プロセスの足跡を「制度整備と意識の醸成期」「インクルーシブな都市づくりの着想期」、「プロジェクト計画期」、「家屋やインフラの改築・建設期」、「住民の再定住期」、「スケールアップ期」の 6 フェーズに分けて辿ってみる。その上で、CD の 5 要素(利害関係者のオーナーシップ、相互学習、CDの牽引要素、スケールアップ、外部支援者の役割)について、MIB プロセスを詳細分析する。

事例より導き出された CD 研究と CD 実践への含意は、第一に CD プロセスとして認識されるべき期間は援助者が通常考えるよりはるかに長期であること、第二に現在援助者が持つ「プロジェクト本体を中心に据えたプロセス認識」は改められるべきこと、第三に援助者によるプロジェクトやセミナーの記録は内部者が革新的な着想に至る上で役立つことがあること、第四にプロジェクト終了後のフェーズにおける持続発展性やスケールアップにおいても、外部者による支援の可能性があることである。援助効果の向上のためにも、今後、本稿のような内部者の視点からする詳細な事例研究が蓄積される必要がある。

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