JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.66 Objectives and Institutions for Japan's Official Development Assistance (ODA):Evolution and Challenges

4つの異なった時期に分けられる日本の政府開発援助の歴史は、理念や目的が次第に多様化し、制度が徐々に変化する歴史であった。ただ、日本自身の経済開発から、途上国の貧困削減、民主主義と市場経済の振興、そして環境問題のような地球規模課題の解決に至るまで、日本の ODAの目標は、一つの理念に基づいた整理がなされず、多様な目標が並列的に提示される状態が今日まで続いてきた。ODA 政策を司る司令塔がないことが、目標が雑多なまま存続することを許してきたが、同時に、目標が雑多で優先付けがなされないことが、省庁間の調整を難しくしてきた。近年、世界の開発援助潮流は、貧困削減とインプット重視の援助効果から、経済成長とアウトプット重視の開発効果へと変わりつつある。この傾向は日本の従来の方針に合致するものであるが、日本が国際援助界でイニシアティブを発揮するためには、「人間の安全保障」概念に基づいて、援助理念を貧困削減と、それを民間経済活動の活性化に結びつける3つのインターフェース--能力開発、統治改革、インフラ整備--に明確に整理し直す必要がある。また日本は、省庁から自立した ODAの司令塔を、国家戦略を司る組織の下に設置する必要がある。

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