JICA研究所

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ワーキングペーパー

No.73 Challenges of Quality of Learning Outcomes for Countries with the Unfinished Agenda of Universal Primary Education and Gender Parity: The Case of Yemen

本論文では、初等教育へのアクセスと教育の質のトレードオフという潜在的問題を取り上げている。過去10年間に著しい進展を見せたものの、依然として教育へのアクセス、衡平性、質の課題を抱えるイエメンを事例国とし、とりわけ教育機会が不足している村落部に焦点を当てた実証研究である。分析には、JICA研究所がイエメン教育省の研究所と2011年に同国で収集した生徒及び学校レベルのデータ、また2011年の国際数学・理科教育調査(TIMSS)からのデータを用いた。まず、学校におけるアクセスの変化を就学生数の増加及びジェンダー格差指数の改善で計測し、学習成果との関係について分析した。アクセスの拡張と学習の質について、トレードオフの関係があると示唆される結果となった。すなわち、生徒及び保護者の教育レベルや職業など家計の特性を制御した上で、過去3年間ジェンダー格差指数がより改善した学校、就学生数がより増加した学校では、他の学校と比較し、現在の生徒の算数テストの結果が低くなる傾向が示された。次に、教育サービスの質を示唆する他の変数と学習成果との関係について分析した。教員配置やコミュニテイ参加に係る学校の特性等が、学習成果と有意な関係にあることが分かった。本研究結果は、教育の機会が不足している地域に対しても教育の質のスタンダードの確保しながら、質における国内差の拡大を避け、更にすべての子供の学習のためにアクセスを拡張していく施策を再考する必要性を示唆している。

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