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エチオピアにおける森林の経済的価値の評価に関する研究

森林は材木、薪や木の実などの供給、水資源の保護や二酸化炭素の吸収など、人間にさまざまな生態系サービス(ecosystem services)を提供する。しかしながら、森林の提供する生態系サービスの多くについては市場がうまく機能せず(市場の失敗あるいは市場の不在のため)、市場価格を価値の評価に用いることができない。このようなサービスの(仮想的な)価格の評価に関しては、仮想評価法(contingent valuation methods)などの表明選好法(stated preference methods)やヘドニック法などの顕示選好法(revealed preference methods)などの間接的な情報を使った推定方法があり、そのような方法論の研究は環境経済学において現在でも盛んに行われている。

本研究は、そのような(仮想的な)価格の見積もりについては既存の文献に依拠しつつ、それを独自に収集・整理する地理・経済データ(森林の量、材木の取引量、二酸化炭素の吸収量など)と突き合わせることによって国および地域レベルでの森林の経済的価値の見積もりを行う。見積もり指標の定義・計算方法については、環境要因を考慮に含めた国民経済計算(とりわけSEEA)の枠組みを用いる。このような評価は現状においてはまだ大半が先進国を対象とするものであるが、エチオピア以外の開発途上国における同様の研究例としては世銀のWAVES(Wealth Accounting and the Valuation of Ecosystem Services)の取り組みがある。 エチオピアを選定する理由としては、1)森林が広範囲に存在する、2)OECDグリーン成長報告書にも特記されているなど、生態系の経済的評価に関するニーズが認識されている、また、3)先行研究が若干存在する一方でそれらは最新のデータを反映していない、ということが挙げられる。しかし本研究のエチオピアのケースで確立する手法は近隣諸国あるいは他地域の同様の評価にも将来的に応用可能である。

研究領域
地球環境
研究期間
2014年09月04日 から 2015年12月31日
主査
成田 大樹、 竹内 博史
JICA緒方研究所所属の研究者
細野 昭雄、 下田 恭美、 鎗目 雅

研究成果(出版物)