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インドネシアにおける多面的な貧困と貧困ダイナミクスに関する分析

1. 「多面的な貧困の測定と決定要素:インドネシアにおける絶対的、相対的及び主観的貧困」

「貧困」の認識は、多様化し動的であり、国内においても様々な社会経済規範により異なる。国は開発の初期段階においては絶対的貧困の問題に取り組むが、平均的一人あたりの国民所得が増加するに応じ、相対的および(または)主観的な貧困に関わることになると思われる。国家社会経済調査2005年(National Socio Economic Survey:Susenas 2005)を使ったこの研究は、インドネシアにおける客観的または絶対的、相対的及び主観的な貧困発生率を調べることによって複数の貧困対策について比較研究を行っている。本論文は、次の3つの主要な問題について記述している。(1)5つの異なる貧困の測定基準が使われる場合、貧困結果はどれくらい異なるか、 (2)絶対的、相対的及び主観的な貧困の重要な決定要素は何か、(3)レファレンス・グループ(隣人)の社会経済指標が彼らの主観的な貧困の家庭の評価に関連しているか。

2. 「インドネシアにおける世代間の貧困ダイナミクス」

一般的に、貧困は全く静的現象でないと考えられている。それには人間が関係し、人間は本来時間とともに変化している。今は貧しくない家庭が、将来どこかの時点で、ある出来事(例えば経済危機、作物損失、失業、死またはその他のショック)をきっかけに、貧困線以下に落ちるかもしれないという可能性が常にある。しかし、現在貧しい家庭が、就職、またはより良い仕事を得、教育を受けることにより学識や技術を向上させ、基盤を改善することで貧困から脱却する可能性もある。1993年から2007年間のインドネシアにおける豊かさに関する生活調査(Indonesian Fertility Life Survey:IFLS)の4つのパネル・データセットを使った本研究の主要な目的は、次の3つである。(1)1993年から2007年の間に貧困に陥った、または貧困から脱却した家庭の流動性についての概観、(2)貧困の過去の依存性の分析、(3)家庭が貧困に陥るまたは貧困から脱却する決定要因の探求。