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紛争影響国における国家建設

長期的な紛争や貧困に象徴される国家の脆弱性を克服するために、国家建設はきわめて重要な役割を担います。長期的な平和のためには、国家建設の過程で、国家の能力とともに国民から見た国家の正当性を高めねばなりません。正当性の構築が求められるのは、能力開発だけでなく、国家建設の中核をなす治安部門改革(Security Sector Reform: SSR)についても同様です。こうした認識は、今日の国際社会の共通理解であり、規範をなしています。しかし、紛争経験国において、こうした規範に沿って国家建設やSSR が展開することは稀です。そこで本研究では、1990 年代に深刻な内戦を経験したルワンダを事例として、規範と実態の乖離を検討しました。特に、ジェノサイドの容疑者を地域社会で裁いていた移行期正義としての「ガチャチャ」と、「動員解除・再統合プログラム」をSSRの代表例として分析を試みました。

その結果、ルワンダのSSR は、紛争後に政権を握った勢力が主導する国家建設に資する限りでのみ実施されたといえること、政府の掲げた目標はほぼ達成されたものの、それが国家の正当性の強化に繋がったとは見なしがたいこと等、がわかりました。

研究領域
平和構築と人道支援
研究期間
2008年04月01日 から 2011年03月31日
関連地域
  • #アフリカ

研究成果(出版物)