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中小企業振興支援の効果:タイにおけるBDSプロバイダーネットワーク化事業の事例

先進国、途上国を問わず一国の経済活動において中小企業が占める割合は大きく、中小企業は雇用の創出、ひいては所得向上を通じて貧困削減に資する経済主体として重要視されてきました。しかし、中小企業はヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源に限りがあるため、外的ショックに対して脆弱であり、小規模の生産規模から抜け出せないというmissing middleという問題を抱えています。

このような問題への対応策として、近年Business Development Service (BDS)と呼ばれる技術向上やデザイン刷新、マーケティング強化等で経営面をサポートするサービスが評価され始めています。JICA事業においても、中小企業の経営・技術能力強化を目的として、BDS提供に関する制度の整備やBDSプロバイダーの能力向上のための支援が行われてきました。その中で本研究はタイにて実施されている技術協力プロジェクト「地方レベルの統合中小企業支援普及プロジェクト」(2013年5月-2016年5月)を研究対象として取り上げました。本プロジェクトでは、中小企業のBDSの活用促進および提供されるBDSの質の向上を目的として、タイ国工業省産業振興局の地方支部、産業振興センターに総合相談窓口を設け、地域内の既存のBDSプロバイダーをネットワーク化しました。

本研究では、BDSプロバイダーのネットワーク化によって互いの情報交換を促し、中小企業にとって支援を得やすい体制を構築することで、企業側のサーチコストを軽減させ、そのことが企業のBDSに対する需要を増やし、ひいては企業業績の向上につながったかを定量的に分析しました。

研究領域
開発協力戦略
研究期間
2015年09月01日 から 2017年03月31日
主査
鈴木 綾
JICA緒方研究所所属の研究者
伊芸 研吾
関連地域
  • #アジア

研究成果(出版物)