JICA主催のアフリカシンポジウム、花谷上席研究員がセネガルの村落給水施設について発表

2011.07.28

花谷厚上席研究員は6月27日、JICA研究所主催の連続公開シンポジウム「アフリカの持続的水利用・管理と農村社会」の第二回「アフリカの村落給水施設維持管理と社会」で、「コモンズとしての住民参加型給水施設維持管理—セネガルの事例」について発表しました。[関連記事へ]この研究発表は、アフリカ農村部の貧困削減に資することを念頭にJICA研究所が進めてきた「アフリカの村落給水組織と協調的地域社会形成に関する研究」の中間報告として行われました。

シンポジウムには、JICA関係者のほか、研究者や専門家など多くの有識者が参加されました。花谷上席研究員の発表後、参加者からは「水料金の支払い意思との関係はどうか」、「収入創出活動は水料金支払いに有効か」などの質問が出されました。これに対して花谷上席研究員は「支払い意思の確認は重要だが、一般にそれはサービス開始前の意思であり、継続的に維持されるためには集合行為の問題を考えることが必要」、「収入創出活動に施設給水の水や徴収した水料金を使うことは、利用可能水量や維持管理に向けられるべき徴収資金の枯渇を招くことがあるので、その量や金額は限定的なものとする必要がある」などと述べ、その後、これらの議論を踏まえ、集合行為の視点から利用者の運営・管理への関わりを分析していくことの重要性があると総括しました。

本シンポジウムでは、上記研究プロジェクトの研究分担者であるお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科の荒木美奈子准教授が担当するタンザニアの事例を用いた「内発的な給水事業展開の諸要因と『コモンズ生成』のプロセス 」について発表し、異なる地域での経験の蓄積と共有の必要性などを強調しました。また、同じく研究分担者である丸尾祐治JICA国際専門員は担当するザンビアの事例を用いた「アフリカの村落給水 —持続的維持管理への課題— 」について発表し、給水井戸の普及率や稼働率の現状について報告しました。

JICA研究所は、今回のシンポジウムの質疑応答、議論の結果を今後の研究成果取りまとめに生かすとともに、政策的含意の実務へのフィードバックを図っていきます。

開催情報

開催日時:2011年6月27日(月)
開催場所:JICA研究所

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