世界銀行の教育専門家がセミナーでSABERの進捗を報告

2011.12.26

JICA研究所は、世界銀行の共同研究プロジェクトについてのディスカッションをさらに深めるための最新企画として、11月25日、世界銀行人間開発ネットワークからハリー・パトリノス氏を迎えて、「SABER」(System Assessment and Benchmarking for Education Results:教育のベンチマークに係る取り組み)に関するセミナーを開催しました。世界銀行の主任教育エコノミストであるパトリノス氏は、SABERプログラム(世界中の教育成果を向上させるという最終的な目的をもって世銀が開発しているツール)の政策領域の一部を担当しています(詳細は、関連記事へ)。同氏は、東京でプログラムの概要ならびにSABERの政策領域である「学校の自治とアカウンタビリティ(説明責任)(SAA)」また「衡平性(エクイティ)および包括的教育システム」における世銀の活動の最新情報を紹介しました。

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ハリー・パトリノス氏

パトリノス氏は、SABERのビジョン、そしてこのプログラムを通じて学習成果向上に向けた政策調和の必要性を明らかにしていく意図を簡単に説明しました。同氏は、国、地域、17の政策領域別に「政策の枠組みを分類し評価すること」および「政策遂行に関するデータを収集して分析すること」が最終的には成果を生むと述べました。パトリノス氏のセミナーでは、SAA領域、そしてヨーロッパと東アジアでの暫定的な達成結果に焦点をあてると同時に、この2地域の国々の相対的な分析も取り上げられました。

SABERの最初の実践例の1つとしてパトリノス氏は、ナイジェリアの最近の事例を紹介しました。世銀はナイジェリアでプロジェクトを遂行中であり、教育振興のためにSABERの成果を適用しています。世銀は、この成果を利用して状況を改善する方法について地元の当局者と検討を進めています。

また、パトリノス氏は、セミナーで衡平性(エクイティ)の政策領域についても述べています。同氏によれば、この領域は比較的新しく、世銀は3年計画でこの領域を発展させるべく活動を展開しています。教育における衡平性と包括的教育システムを推進するために、問題の原因を特定して非衡平性のギャップを定量化し、効果的な戦略を見出すことで、知識基盤の強化が進められているとのことです。

パトリノス氏の講演の後には、JICA研究所の研究チームのメンバーである早稲田大学の黒田一雄教授が、同氏のインクルーシブ教育に関する最近の調査に基づいて、衡平性領域の指標に関する試案を披露しました。

開催情報

開催日時:2011年11月25日(金)
開催場所:JICA研究所

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