東ティモール政府主催のポスト2015開発課題コンサルテーションが実施

2013.03.13

2月26日から28日までの3日間、“Development for All(万人のための開発)”と題した、東ティモール政府主催のポスト2015開発課題コンサルテーション会合が、AusAID(オーストラリア国際開発庁)、UNESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)、Pacific Institute of Public Policy(太平洋公共政策研究所)の支援を受けて、東ティモールの首都ディリにて開催されました。

本会合には、脆弱国グループg7+加盟国や、太平洋諸国、ポルトガル語圏アフリカ諸国など48か国からの閣僚級のメンバーを含む参加者があり、また主催国東ティモールからは、グスマン首相、ピレス財務相などが出席しました。この会合は、ポスト2015開発課題の中に、脆弱国・紛争影響国に特有な課題をどのように位置づけるかについて合意を得る目的で実施されました。JICA研究所からは、室谷龍太郎リサーチ・アソシエイト(RA)が出席し、「人間の安全保障と個人の安全を通じた平和構築」の分科会等での意見交換に参加しました。

Opening Remarks(Dr. Kuntoro, H.E. Mr. Tong, H.E. Gusmao,Ms. Heyzer).JPG

開会挨拶

会合全体では脆弱国と太平洋諸国が直面する課題が中心的に議論され、主な論点として、脆弱国が直面する紛争と脆弱性、太平洋諸国が直面する自然災害と気候変動などが挙げられました。室谷RAは、初日の午後に開かれた分科会「人間の安全保障と個人の安全を通じた平和構築」で、貧困などの危機に瀕している人々に目を向け、自然災害や紛争などといったダウンサイド・リスクに対処するには「人間の安全保障」がポスト2015開発課題の指導的概念として潜在性があるなどと指摘しました。この分科会では、貧困、自然災害、紛争といった様々な安全への脅威について議論された結果、安全は多面的なものであり優先順位付けが難しいが、少なくとも「人々のための安全」が大切であると合意され、「人間の安全保障」の有効性が確認されました。また、「人間の安全保障」については、全体会合の中でも重要な概念として参加者から何度も言及されていました。

室谷RAは、この発表以外にも関係者との情報交換を行い、JICA研究所が進めているポスト2015開発課題に関する研究について紹介しました。

最終日には、脆弱国を含むすべての国の発展のために、MDGsで十分に考慮されていない4分野(インクルーシブな経済成長、効果的な国家運営、平和と正義、気候変動と自然環境管理)について、強化する必要があることが成果文書「ディリ・コンセンサス」によって合意されました。また、開発戦略を策定するために、南南協力のような地域間、および地域を越えた協力の枠組みの重要性が認識されました。本会合は、脆弱国や太平洋諸国の意見を反映する機会となり、各国のオーナーシップの重要性や、脆弱国支援のための「ニュー・ディール」の実施促進等も議論されました。

Session 2a-a.jpg

開催情報

開催日時:2013年2月26日(火)~2013年2月28日(木)
開催場所:東ティモール、ディリ

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