「ポスト2015開発課題」に関するコンサルテーション会合で、JICA研究所が発表

2012.12.06

11月29、30日の二日間、リベリアの首都モンロビアで「ポスト2015開発課題に関するグローバル課題別コンサルテーション会合」が開催されました。この会合は、国連開発計画(UNDP)・ユニセフ(UNICEF)・国連平和構築支援事務局(UNPBSO)・国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が主催する「紛争と災害」に関する合計4回にわたる課題別コンサルテーション会合の2回目で、政府・国際機関関係者、有識者、市民社会代表者など約80名が参加し、議論を交わしました。JICA研究所からは、室谷龍太郎リサーチ・アソシエイト(RA)が研究所での紛争と平和構築に関する研究成果やJICAの取り組みについて紹介しました。

MDGsの目標年である2015年が近づくのに伴い、昨今2015年以降の新しい開発課題の枠組み設定についての議論が活発になっています。「ポスト2015開発課題」と呼ばれるこの議論について、JICA研究所でも「ポスト2015における開発戦略に関する実証研究」を今年8月に立ち上げ、MDGsの達成状況をレビューした上で新しい開発課題の枠組みの中で、InclusivenessとResilienceの重要性を研究しています。

「ポスト2015開発課題」については、今年7月に潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が立ち上げたハイレベル・パネルが2013年5月に報告書を提出する予定であり、幅広い参加者からの意見を取り入れるためにUNDPが中心となって、国別・課題別・オンラインでのコンサルテーションを実施しています。本会合は、11の課題別コンサルテーションのうちの「紛争と災害」に関するもので、主にアフリカの紛争と脆弱性について議論が展開されました。

室谷RAは発表の中で、JICA研究所が実施している「ポスト2015における開発戦略に関する実証研究」の内容について紹介した他、人間の安全保障の概念の有効性についても指摘しました。また、研究所の「アフリカにおける暴力的紛争の予防」の研究成果に基づいて客観的・主観的水平的不平等(Horizontal Inequality: HI)と政治制度の重要性を強調し、JICAが取り組んでいる生計向上・雇用創出への支援や、紛争影響国における評価ガイドラインの導入についても言及しました。

紛争や平和に関する目標はMDGsには含まれていませんが、本会合では、紛争がMDGs達成を妨げる重要な要因であり、新しい開発課題の枠組みに組み込まれるべきとの意見が多数出されました。
平和に関連する課題として、不平等、ガバナンス、成長と生計向上などが挙げられ、アフリカからの参加者の間でも人間の安全保障の重要性を指摘する意見が出されました。また、脆弱国が中心となって作成を進めている平和構築・国家建設目標(PSGs)についても議論されました。今回の会合の成果は国連事務局によって取りまとめられ、ハイレベル・パネルに対する助言として提出される予定です。

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室谷リサーチ・アソシエイト(左)

関連ファイル

開催情報

開催日時:2012年11月29日(木)~2012年11月30日(金)
開催場所:リベリア、モンロビア

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