『Preventing Violent Conflict in Africa: Inequalities, Perceptions and Institutions』
アフリカでの暴力的紛争の要因を「構造」と「プロセス」の視点から分析してきたJICA研究所の「アフリカにおける暴力的紛争の予防」プロジェクトの研究成果が、書籍として2013年10月18日に英国のパルグレイブ マクミラン社より刊行されました。
本研究は、定量的な分析と定性的な調査を組み合わせながら、水平的不平等(Horizontal Inequalities: HIs)、人々の意識、政治制度という3つの要因の相互作用と、これらの要因が国の安定性と紛争リスクに与える影響を分析し、開発実務者や政策立案者に向けた提言を行っています。
研究を通して、HIsが暴力的紛争にとって重要な要因であり、特に政治/経済/社会という複数の側面で同じ不平等がある場合に深刻なリスクとなること、人々の主観的な認識は客観的なHIsとは必ずしも一致せず、特に政治的に不利な立場に置かれた集団は自らの集団の社会経済的地位を客観的な水準より低く認識しやすいこと、などが判明しています。また、フォーマルかインフォーマルかを問わず、主要な集団を幅広く包含する制度がガバナンスの安定のために重要であることも指摘されています。
本書籍は、この国際共同研究の代表である峯陽一客員研究員(同志社大学教授)と、アドバイザーのフランシス・スチュワート名誉教授(オクスフォード大学)、福田パー咲子教授(ニュースクール)およびタンディカ・ムカンダウィレ教授(LSE:ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の4名による共同編集となっています。JICA研究所からは峯陽一客員研究員が総論、政治制度分析、および南アフリカ/ジンバブエ事例分析、片柳真理主任研究員が政治制度分析と政策提言、三上了主任研究員が政治制度分析や主観的な認識と客観的なHIsの計量分析の章をそれぞれ共著している他、武内進一元客員研究員がルワンダ/ブルンジ事例、笹岡雄一元上席研究員がウガンダ/タンザニア事例(共著)の執筆を担当しています。
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